地盤調査計画を立てるためには、その調査の目的、費用、時期、期間などをまず十分に認識しておく必要がある。対象とする地域で先立って行われた既往の調査結果、近隣地区の調査・工事報告書、地形図、空中写真などその時点で入手可能な資料を十分検討し、問題点をよく把握したうえで、何を情報として得なければならないかを明確にしておくことが重要である。
地盤調査では、通常、点や線の情報が得られるが、実際に調査結果を利用する際には、これらを面的あるいは空間的に解釈して利用することになる。限られた点あるいは線の情報から全体像を大きな誤りなく把握するためには、単に調査の頻度、数量を増やせばよいというものではなく、地盤の弱点となりそうな部分や、構造物にとって重要な地盤の位置や深さを的確に調査する必要がある。このためには、地形・地質に基づく巨視的な観点からの地盤構成の把握と、既往資料の十分な検討、さらに調査の最終目的に対する十分な理解が必要である。
現実には、予算、工期、地形などの制約から、十分な地質調査が行なえないことも多い.こういう場合は、目的とする情報の性質をよく勘案し、妥当な代替案を検討する必要がある.例えば、地盤自体にあまり問題がない場合で、むしろ平面的な変化を知りたい場合は、サウンディングなどの簡易な試験を多数の地点で実施することが適当である。逆に、平面的には狭いが、大深度まで掘削するような場合の調査などであれば、数量を少なくして、重要な地層を重点的に調べるほうがよい場合もある。
このように、調査結果の利用方法と情報の必要性を十分理解したうえで調査計画を立てることによって、時間的にも予算的にも最小投資で最大効果をあげることができる。
建設工事では通常、起案から維持管理の各段階に応じて要求される土質・地盤情報の種類と精度は一様でないので、これに対する地盤調査の内容、規模も異なったものとなる.そのため一度だけの地盤調査で建設工事に必要なすべての土質・地盤情報を得るのは適切でなく、またそれは不可能なことである。したがって、計画から施工、維持管理に至るまで、建設工事の各段階に応じて数次にわたり地盤調査をおこなって、設計・施工に反映・利用することになる。