■宮城県を地形的に区分すると、奥羽山脈地帯,北上山地南部隆起帯,阿武隈山地北部隆起帯、仙北丘陵地帯、仙北低地帯、仙南低地帯の6地域に区分される。
■東北地方の脊梁で宮城県の西側県境をなし、栗駒山(1628m)、船形山(1500m),蔵王山(1628m)などの火山が連なっている。奥羽山脈には,第四紀の火山とその基盤として中新世の海底火山活動図による緑色凝灰岩類、さらに緑色凝灰岩類の基盤である花崗閃緑岩が分布している。
■北上山地は、岩手県東部全域をしめるが宮城県にはいると県境の大森山(750m)を最高峰として南に向かうにしたがって幅と高さを減じて牡鹿半島として太平洋に突出し金華山で終わる。北上山地の地質は,中古生層の砂岩、粘板岩、礫岩および石灰岩からなる。
■阿武隈山地は福島県東部を広く占めて紡錘形の山塊をなしており、その北部が宮城県南部に達している。東部海岸地域では時代未詳先第三系の砂岩・粘板岩と花崗岩類で構成されている。
■北上山地と奥羽山脈に挟まれて低地と丘陵が分布しており、丘陵は,黒川郡一帯に広がる泉丘陵地と塩釜〜松島の松島丘陵地で形成されている。丘陵地の地質は、中新世あるいは鮮新世の厚い堆積岩で構成されている。
■この地帯は仙北丘陵の北側の低地で、江合川・鳴瀬川の沖積からなる大崎低湿地帯と迫川・北上川の沖積からなる仙北平野の低湿地帯に区分される。
■阿武隈山地北端の丘陵地帯と高館山を中心とする丘陵によって、角田盆地・白石盆地・亘理海岸低地帯に区分される。
■北上山地に分布する中古生層(砂岩・粘板岩等)や花崗岩・火山岩等の新鮮部が該当し、基礎地盤としては一般に良好である。ただし、応力開放、冷却固結,断層や終局運動等による割れ目が発達し力学的異方性を有している。
■(a)新第三紀火砕岩(グリーンタフ)
奥羽山脈に分布する新第三紀の凝灰岩類は、地層の固結度が一様でないことに加えて、変質による膨潤性粘土鉱物を伴うことも多く注意が必要な地層である。
■(b)新第三紀堆積岩
仙北丘陵に分布する中新世〜鮮新世の堆積岩は固結度が低く岩盤を露出した場合には、スレ−キングやスウェリングによる岩盤の劣化が生じる可能性がある。
■仙北低地および仙南低地に広く軟弱地盤が分布し、大崎平野および角田盆地では泥炭地の占める割合が多い。
■宮城県での地すべりは、奥羽山脈沿いのグリーンタフ地域,仙台市周辺の丘陵地、角田盆地周辺に分布するが北上山地では極めて少ない。