■青森県内では主として奥羽山脈が、青森市東部の東岳山地・夏泊半島を形成し、その延長部が下北山地となる。山地としては出羽山地の北縁部にあたる県西部の白神山地の他、八戸南東部には北部北上帯の一部である階上山地が存在する。
■丘陵地は比較的占有面積が小さく、三戸丘陵、砂小又丘陵、大釈迦丘陵などが代表的である。
■台地としてはロ−ムに被覆された広大な六ヶ所台地などがある。
■低地は津軽平野が県内最大で、その他、青森・八戸・むつなどの主要都市にも低地が分布し、軟弱地盤を形成している。
■青森県の地質は新第三系(中新統・鮮新統)の地層が基盤の主体となっており、奥羽山脈から西側の日本海までの地域と下北半島には新第三系を特徴づけるグリ−ンタフが分布する。
■近年の衛星写真分析などから、新第三系の古いカルデラ(沖浦カルデラ,碇ケ関カルデラ)が発見されている。
■県内の第四紀火山には、岩木山、八甲田・十和田火山群、恐山火山などがあり、軽石流凝灰岩(しらす)や降下火山灰(ロ−ム)は、県中央部から太平洋岸の山地,丘陵地、台地に厚く分布し、この地域の代表的な第四紀洪積世の地層を形成している。更新統は丘陵地、台地、および低地の深部に広く分布し、シルト・粘土、砂、礫などの未固結堆積物からなる。完新統は各低地に広く分布し、泥炭、シルト・粘土、砂、礫などからなる(特に泥炭は平野面積の約10%を占める)。
■また、丘陵地、台地に発達する開析谷には、泥炭やシルト・粘土からなる軟弱地盤が分布することが多い。
■新第三系の地層が主体となっており、地域的には弘前市西側〜南側,津軽・夏泊・下北の半島部に多く分布する。軟岩は一般に圧縮強度100〜200kgf/cm2以下であり、亀裂の発達や風化の程度などを考慮して評価する必要がある。
■土丹に相当する岩は圧縮強度は10kgf/cm2 程度(N値=50以上)であったが、風化した土丹(N値=10〜40程度)を切土した場合に表層部の崩壊が発生しやすいため、勾配を緩くしたり、植生で保護するなどの対策がとられた事例もある。
■青森県下では火山灰質粘性土(ロ−ム)を対象とした工事事例が多くなっている。敷均し、転圧の過程で強度低下が著しく機械施工を阻害したり、ロ−ムを用いた高盛土の設計にあたり、安定性の確保に苦慮することが多い(安定処理は生石灰<添加率5%前後>が主体)。
■青森県内には八甲田・十和田両火山を起源とする軽石流堆積物が大量に分布する。この軽石流堆積物は土質工学上の分類でしらすに区分される特殊土で、ほぼ直立した急崖を形成している。浸食されやすいため、後背地からの表流水をのり面に流さないような排水施設の整備やのり面の保護が重要である。
■軟弱地盤の定義は、一般にN値=0〜4の粘性土,N値<10の砂質土をさし、圧密沈下や地震時の液状化対象層となる。軟弱地盤の分布は沖積低地とほぼ一致するとともに、泥炭地盤が多いことが特徴と考えられる。
■一方、1994年三陸はるか沖地震などでは液状化が発生している。津軽平野のなかでも五所川原〜十三湖付近は度々被害を受けており、また青森および八戸地区は港湾の埋立地帯や海岸低地などの限定された地域で発生している。