■秋田県は東北地方の北西部に位置し、南北に長い長方形をなしている。本県は一般に山地に富み、東北地方の脊梁をなす奥羽山脈は岩手県と境して南北に縦走し、その西方に出羽丘陵が併走する。出羽丘陵の中には海底隆起の模式的台地地形(鳥海山麓の由利高原)が見られる。
■奥羽山脈と出羽丘陵の間には、北部域に鷹巣、大館、花輪の各盆地が、また、南部域には横手、仙北盆地が発達する。出羽丘陵の西側には北から能代平野、八郎潟低地、秋田平野、本庄平野などの低地部が海岸線に沿って発達している。
■河川は主として奥羽山脈に源を発し、北から米代川、雄物川、子吉川の3大河川が走る。火山は八幡平、駒ヶ岳、栗駒山の諸火山とv田沢湖、十和田湖の両カルデラ湖をつくり、観光地・温泉地として知られている。
■県内の地質は新第三系を主体としているが、奥羽脊梁山脈西縁の山地および青森・秋田県境に沿っては、古生層が小域に散在している。古期花崗岩類は太平山を中心とする山塊などに認められる。
■第四紀火山岩は県境に沿って配列し、岩質は安山岩、玄武岩質安山岩の溶岩を主体とし、県北には十和田火山噴出物(火山灰:しらす)が広く分布している。
■本県に分布する泥炭は、層厚2〜5m程度の沼野型泥炭地の他に、層厚10mを越える樹枝状谷泥炭地により特徴づけられる(図2-2)。このような地盤では構造物に対し沈下やすべり破壊などの問題が発生する場合が多く、設計・施工に際して留意する必(図2-1秋田県の地質概要図)要がある。
■安定対策として、押え盛土工法やサンドドレ−ン工法の他に、敷網工法が採用されている。また、ボックスカルバ−トなどの沈下・支持力不足対策として深層混合処理工法(DJM)も採用されている。
■昭和58年5月26日、秋田県能代沖に震源のある地震(M=7.7)が発生し、秋田・青森県を中心として甚大な被害をもたらした。この地震の特徴としては、砂地盤の液状化による地盤被害が広範囲にわたって発生したことで、その被害地域は沖積平野(特に、旧河川敷にある砂地盤、砂丘と低地との境界付近、湖沼や砂丘間低地に砂盛土で造成した地盤)で顕著であった。(図2-3)。
■本県も他県におとらぬ地すべり多発地帯である。(図2-4)地すべりは県内に広く発達する第三紀層の地質及び地質構造に規制されて分布し、発生地域は出羽丘陵周辺、横手盆地東縁山地の弱構造線地帯、男鹿半島周辺、小坂〜八幡平にわたる花輪断層線上に集中している。
■これらの地域の内、男鹿半島を除けばいわゆるグリ−ンタフ地帯であり、特に、黒色泥岩、硬質砂岩中(凝灰岩薄層を挟む)に多く発生しており、地すべり粘土として、モンモリロナイト粘土をもつのも特徴である。
■これらの地質的素因に加え、誘因として,本県が2〜3mを越える豪雪地帯であるため、融雪による地下水の連続的供給があげられる。
■地すべり防止対策としては、明暗渠排水工、集水工、アンカ−工、排水トンネル工、杭打工などが実施されている。