平成24年3月に道路橋示方書・同解説が改訂されました。下部構造編の中の「設計に用いる地盤定数の評価」の項で、土質強度などの求め方の記述も変更されています。主な変更箇所を抽出し旧版と比較して整理してみます。
事項 | 旧示方書(平成14年) | 新示方書(平成24年) | ||
---|---|---|---|---|
概要 | 適用条件 など |
概要 | 適用条件 など |
|
地盤定数の評価 | 設計に用いる地盤定数は、地盤調査の結果を総合的に判断して設定するものとする。 | 設計に用いる地盤定数の評価は、地盤の性状に応じて調査の結果を総合的に判断して行わなければならない。 | ||
地盤調査データのばらつき | 計測値の一次処理(異常値の除去、必要な場合には補正)について記述 | (特に変更なし) | ||
粘性土の粘着力 | ・標準貫入試験のN値から非排水せん断強度(粘性土の粘着力cu)を推定することがある。 ・軟弱な粘性土の場合・・・乱さない試料による室内試験や原位置での他の試験から粘着力を求めなければならない ・一軸圧縮強度quを求め粘着力cu=qu/2とする ・静的コーン貫入試験等から粘着力を評価する |
N≦4 ・「地盤調査法」(地盤工学会)参照 |
・標準貫入試験のN値から非排水せん断強度(粘性土の粘着力cu)を推定することがある。 ・軟弱な粘性土の場合・・・乱れの少ない試料による室内試験や原位置での他の試験から粘着力を求める必要がある。 ・一軸圧縮強度quを求め粘着力cu=qu/2とする ・静的コーン貫入試験等から粘着力を評価する |
N<5 ・「地盤調査の方法と解説」(地盤工学会、平成16年6月)参照 |
砂のせん断抵抗角 | ・参考資料として上載荷重を考慮した相関式 (各記号は示方書参照) φ=4.8logN1+21 N1=170N /(σ’v+70) σ’v=γt1+γ't2(x−hw) ・N≦5の場合、砂のせん断抵抗角の代わりに安息角を用いることを適用してもよい。 ・信頼性できるサンプリング試料の三軸圧縮試験結果がある場合は参考にして検討することができる。 |
N>5 ・参考資料-8 ・「地盤調査法」(地盤工学会)参照 |
・参考資料として上載荷重を考慮した相関式 (各記号は示方書参照) (式には変更なし) φ=4.8logN1+21 N1=170N /(σ’v+70) σ’v=γt1+γ't2(x−hw) ・N≦5の場合、砂のせん断抵抗角の代わりに安息角を用いて設定する考え方もある。 ・頼性できるサンプリング試料の三軸圧縮試験結果がある場合には結果を踏まえて設定するのがよい。 |
N>5 ・参考資料-2 ・「地盤調査の方法と解説」(地盤工学会、平成16年6月)参照 |
砂礫の粘着力及びせん断抵抗角 | ・れきをたたいてN値が過大に出る可能性があるため、打撃回数と貫入量の関係を検討してN値を補正するなどの留意が必要。 ・洪積世の砂れき層においてよく締って固結している場合、ある程度の粘着力を有する場合がある。特に必要な場合には平板載荷試験等を行い推定するのがよい。 ・沖積層の砂れき層は固結が進んでいないのでせん断抵抗角のみを有する地盤と評価。 |
(特に記載に変更はない) | ||
岩盤の粘着力及びせん断抵抗角 | ・亀裂の少ない軟岩や土丹:一軸圧縮強度quの1/2を粘着力cとしてせん断抵抗角φは無視してもよい。 ・風化軟岩:既往データに基づく換算N値と物性値との相関関係から推定する方法が提案されている。 ・硬岩:RQDを考慮したり、コアと地山のP波を考慮して、ボーリングコアの試験結果から地山の強度定数を評価することが望ましい。 |
方法の記載に大きな変更はないが、文末に以下のような変更がみられる。 検討しなければならない →検討する必要がある。 試験をしなければならない →試験を行う必要がある。 評価することが望ましい →評価することがよい。 |
||
土の変形係数 | 以下の設定手法が挙げられている。
|
左記の記述に以下の記述が追加された。 N値が5未満である場合、N値と静的載荷試験から得られる地盤反力係数との関係にばらつきが著しいため、このような場合は乱れの少ない試料による室内試験や孔内水平載荷試験、平板載荷試験などから変形係数を求めるのがよい。 |
||
岩盤の変形係数 | 軟岩の変形係数は換算N値との相関関係が整理されている。 | 換算N値300回程度まで | (特に記載に変更はない) |
このように、大きな変更なく、一部新たな記述が追加されると同時に、条件の変更が一部見られます。また、文末の表現に一部変更がみられます。