既存調査データは各業務等における先行調査と、Web等で公開されている柱状図等のデータ、有償で入手することが可能な地質データ等があり、いずれの場合においても類似する地形・地質の既存データは調査計画を行う上で有用な資料となります。
解説.1 入手可能な既存調査データ(ボーリング柱状図)の例と入手先
先行調査データについては各関係機関から入手することとなりますが、ここではWeb等で入手可能な資料と入手先のいくつかを以下に紹介します。
- 国土交通省 国土地盤情報検索サイト kunijiban
http://www.kunijiban.pwri.go.jp/jp/
- 社団法人全国地質調査業協会連合会 NPO地質情報整備・活用機構 日本情報地質学会
Web-GIS版電子納品統合管理システム Web-titan (プロトタイプ)
http://www.web-gis.jp/web-titan/index.htm
- 独立行政法人防災科学技術研究所 ジオ・ステーション(関東地方のみ)
地方自治体が公開しているボーリングデータベースとの連携
http://www.geo-stn.bosai.go.jp/jps/index.html
- とうほく地盤情報システム運営協議会 みちのくGIDAS
Kunijibanを実装中であり、地方自治体データ実装を交渉中(宮城県、福島県、秋田県)
https://tkkweb02.tohokukk.jp/
解説.2 既存調査データを利用するうえでの留意点
既存データを利用する上で留意すべき点を以下に示します。
- 調査位置の確認
古い資料では調査位置の精度が良くない場合もあり、特に谷埋盛土や、丘陵地裾部など岩盤上面の変化が大きい地域では注意が必要です。
また、調査位置の座標が記されている資料では測地系の確認が必要であり、測地系変更前(2002年4月1日以前)の資料については世界測地系への変換が必要です。
- 孔口標高の確認
市街地や土地改変によって地盤の高さが変化している地域や、測量精度等が不明である資料については孔口標高について注意が必要です。
- 調査データ
古い資料や、調査機関等が不明な資料については、地質情報やN値の精度について入手先に問い合わせる等の注意が必要です。
- 二次利用外
業務等で入手した既存調査データ、特に非公開データについては他業務等での利用等、データ所有者の了解を得ない利用は行わないことが前提であり、またデータ流出についても注意する必要があります。
最近ではGISやWebの発達、および地質データの共有化の流れにより既存データの整備が進んできています。しかしながら既存調査データの利用には、上記のような留意点をよく理解した上で利用することが大切で、入手先や調査機関が明らかで、その内容について問い合わせが可能な資料を除いては、あくまで調査計画における参考とすることが望まれます。