■本県の地形は、概観すると南北に連なる平地と山地が交互に現れ、いずれも地質構造を反映している。
■阿武隈山地は広大で起伏の乏しいいわゆる準平原の地形を呈している。中通りの各盆地の西縁部には標高2000m級の新しい火山帯が南北に連なっている。また,会津盆地西縁部では比較的低山地性の山地が広がるが、その西側の新潟県境までは標高1000m以上の急峻な山岳地形を呈している。
■大きくは白河〜郡山〜福島の盆地列を境に東側が非グリーンタフ地域、西側がグリーンタフ地域に分けられる。
■南北方向の幅の狭い範囲に新第三紀の砂岩、泥岩を主とする堆積岩が分布し、全体に東側に緩く傾斜する構造を示す。また、海岸に面した平坦地にはおぼれ谷地形が発達し、粘性土が厚く分布する軟弱地盤を形成している。
■主に白亜紀の花崗岩類が分布し深層風化に伴うマサ化が著しく、比較的平坦な地形を示すが、貫入岩などの分布するところでは急峻な地形を示している。
■深部には花崗岩類が分布するが、盆地の西縁部ではグリーンタフ地域特有の凝灰岩類が分布する。また、新第三紀の地層を覆って第四紀の火山が噴出しており、これに由来する未固結の火山砕屑物(泥流堆積物等)が覆っている。
■東側は広く第四紀初期の溶結凝灰岩に覆われ高地を形成し、南縁部には花崗岩や古生層が山岳地形をなして分布する。西縁部では新第三紀中新世〜第四紀更新世の各地層が盆地側に順次傾斜して分布し、グリーンタフ地域の模式的な地域の一つとされている。
■本地区はグリーンタフ変動の激しい活動域に当たり、新第三紀中新世の凝灰岩類や流紋岩、安山岩等が広く分布し、鉱化変質帯(黒鉱鉱床)を伴っている。
■阿武隈山地に広く分布する花崗岩地域では全体に深層風化が進行し、地表に現れた花崗岩のほとんどがいわゆるマサ状風化岩となっており、法面切土時の硬質岩塊(コアロック)やペグマタイト(巨晶花崗岩)の落石、掘削後の法面侵食が問題となる。また、花崗岩中の小断層やペグマタイトが流れ盤をなす場合には、切土時に上位のマサ状土塊の地すべりを誘発する場合がある。
■浜通りの南端部に分布し、石炭層の上下に炭化物を多く含む軟質な泥岩を共有する。この泥岩は層理方向にせん断して粘土化し鏡肌が発達しており、流れ盤を呈する法面ではしばしば石炭層に沿った層面すべりが発生しやすい。
■中通り及びグリーンタフ分布地域の新第三紀の泥岩や細粒凝灰岩では、固結度は高いもののモンモリロナイト等の膨潤性粘土鉱物を含むことが多く、他の岩石に比べ強度が低く、粘土シームや鏡肌が発達することが多い。そのため、流れ盤地域では大規模な地すべりを発生させる危険性が高い。
■福島盆地西縁から会津及び只見地方では、グリーンタフと総称される海底火山起源の凝灰岩類及び安山岩などの貫入岩が分布し、含有されるモンモリロナイトなどの粘土鉱物や有害な重金属、断層破砕帯の分布や複雑な地質構成に起因して、法面工やトンネル掘削時にしばしば問題が発生している。
■第四紀の火山周辺には安山岩の巨礫や転石を大量に含む未固結の泥流堆積物が分布し、切土時には容易に地すべりを発生させやすい。また,分布域を流れる河川に大量の土砂を供給しており、これらの流域では砂防対策が必要である。