協会誌「大地」No49

奥山ボ−リング(株)技術本部
阿部 真郎

 

私の趣味

他人が私に「多趣味ですね」と言うときには、「仕事もしないで道楽できてうらやましいですね」といううすら笑いが顔の奥から透けて見え、なまじ当たっているためか恥ずかしい思いをします。

学生時代のジャズ演奏への傾倒、社会人から初めた蕎麦打ちや山菜採り、およびスキュ−バダイビングが主な趣味です。私の趣味への取り組み方は、最初10年ぐらい熱中し、その後「うだうだ」と続けることです。たとえばキノコですが、毎年1 つのキノコの種類を覚えて最初の1〜2年間はそれを徹底的に探し回る。10年後には10種類のきのこを採れるようになり、そうなると一回山に入ると空籠で帰るということは無く、なにかしらおいしいキノコを採ることができるようになります。蕎麦打ちは蕎麦汁も含めて10年間ノ−トに組み合わせや出来具合を記録し、その後はのんびりと自分に合う蕎麦を打って楽しんでいます。

ダイビングは私が始めて15年目に妻を誘い、その後現在まで10年間二人で楽しんでいます。

しかし、いずれも最初の10年間は家族に多大な迷惑をかけていたようです。たとえば妻は採取した大量のキノコを連日夜中まで洗い、煮て、塩漬けにする作業を行うことになります。また家族はボソボソのまずい蕎麦を数年間笑顔で食べさせられております。ダイビングは家計に迷惑をかけていたようです。

苦しい家計を背景としているため、私の趣味は物から入ることは無く、おもちゃのような安い道具から始めて、そして上手になるに従って良いものに少しづつ変えていくという貧乏手法をとっています。

60才になった現在、春から秋の毎日曜日は男鹿半島の海に妻や仲間と水中カメラを手にして潜ってます。

長距離出張にはジャズを入れたi-podが離せませんし、一昨年ネットオ−クションでドラムを3万円という破格の値段で手に入れ、仕事のうっぷんを晴らすべく、やけくそ打法で演奏に励んでます。近所の方は私どもの馬鹿息子が買ったものと思いこんでますが・・。蕎麦はこの頃「心・技・体」のうち「技・体」を習得し、連休が続いた時に2人で細々と食べてます。キノコは夢中にならないように食べる分だけそろりと採ってくるようになり、「キノコ採り」からヨ−ロッパ風「キノコ狩り」に変身し、現在華麗なキノコ狩りフアッションを考案中です。

これまでの趣味に関する思い出深いものとしては、海外の海でガイドの餌に魂を売ったナポレオンという大きな魚と記念撮影をしたこと(写真-1)、キノコに関しては山に同行した仲間から「毒キノコであるから採らないでそのままにしておくように」という嘘のアドバイスをはねのけてでっかい舞茸を収穫したこと(写真-2)、蕎麦ではヒマラヤ山中のカリガンダキ渓谷上流で収穫された蕎麦(写真-3)を貧しい農家からやっと売ってもらい、帰国後に石臼で挽いて打った蕎麦の悲しげに美味しかったことなどがあげられます。

リタイア後は今の仕事を趣味にして今度こそ一生懸命できればと思ってます。

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写真-1 ナポレオンと記念撮影

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写真-2 測量中の舞茸収穫 帰社後の記念撮影

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写真-3 ヒマラヤカリガンダキ渓谷の蕎麦の花

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