協会誌「大地」No49

東北地質調査業協会 理事長 早坂 功

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年頭のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。今年は西暦2009年、平成21年であり、干支は「己丑(つちのとうし)」にあたります。「己(つちのと)」は十干の六番目であり、折り返し地点、何かが新たに始まるときと言われており、「丑(うし)」は十二支の第二番目で、実を結ぶ新たな営みを始める時期とも言われております。また、丑は動物の牛に通じ、牛は聖なる動物として、更には資本の象徴とも言われております。今までの流れは去年で一応完結し、全く違う新しい流れが始まる可能性を感じさせ、資本の象徴である「牛」にあやかって経済的にも好転することが期待される年でもあります。

昨年の年頭の挨拶では、干支が「戊子(つちのえね)」であることから、「未来の繁栄に向けての子種を宿す年」であり、「業界全体が再出発する年」であることを予想いたしました。しかし現実は厳しく、昨年はサブプライム問題に端を発し、「100年に一度」という世界的な金融危機に直面し、日本においても株価が急落し、円高が進み、大きな雇用問題が生じるなど、不況が極めて深刻化しました。世界、日本経済の不況は、地方では更に大きな波となって押し寄せ、今後の見通しが全く立たない経済状況下にあると言っても過言ではないでしょう。

昨年も巨大な自然災害も多く発生し、5月には中国四川省でM7.9の巨大地震が発生し7万人もの犠牲者が出ましたが、その1ヶ月後の6月にはここ東北地方においてもM7.2の「岩手・宮城内陸地震」が発生し、地すべり、土石流、土砂崩壊が起こり、多くの尊い人命を失い、道路をズタズタにし、山容をすっかり変えてしまいました。このように、昨年は極めて悪い年でありましたが、「己丑」である今年こそ、この悪い流れを変える干支通りの画期的な年にしたいものです。

全国地質調査業協会並びに当東北地質調査業協会は、公共事業が半減し、業務量が半分以下になった状況に対処して、以前から様々な取り組みがなされてきました。全地連では、昨年も「資格」「積算」「フォーラム」「講習」「刊行」に加えて、「地質リスク」「メンテナンス」「ジオパーク」「新マーケット」「技術の継承」などへの積極的な取り組みが行われたほか、国土交通省、土木研究所、産業技術総合研究所との意見交換会を行って、現状を打破しようと努力しております。

当協会においても、意見交換会、講習会、資格試験などを全地連と一緒に実施しております。意見交換会は東北地方整備局とは毎年実施していますが、宮城県と4年ぶりに再開した他、岩手県ともはじめて行いました。なお、「岩手・宮城内陸地震」時に行政機関から協会への要請がなかったことは、当協会としても大きな課題であると考え、意見交換会の議題として取り上げました。

5年ぶりの積算資料改訂に伴う講習会やジオパークフォーラムを全国に先駆けて当協会が実施いたしました。講習会の一つとして、「仙台工業高等学校ものづくり実践指導講座」を一昨年度に引き続き実施しましたが、今回は、その対象が学生だけではなく先生方への講習も行いました。また、以前から福島県では実施しておりましたが、今回は(社)宮城県建設センターへの講師派遣も予定されております。一昨年は東京で行われた「地質情報管理士」試験を昨年は仙台でも実施することが出来ました。

さて来年は、東北地質調査業協会の設立50周年にあたります。すでに、今年から記念行事の準備に入りました。今後、60年、70年そして100年を目指すには、会員数が激減しているこの厳しい現実を打破しなければなりません。それには、業務量の増大しか解決策はないと思われます。業務量拡大に向かって、協会として何が出来るのかを早急に検討し、実現化させることが重要なことと存じます。地質調査が日本の社会にとって重要不可欠な業務のひとつであることを会員全体が自覚し、世の中にPRし続けることが大事だと思われます。

昨年巻頭と同様ですが『明るく活力のある元気な協会・会員』を目指して、会員皆様のご多幸を祈念して、簡単ではありますが、新年のご挨拶と致します。

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