協会誌「大地」No48

(株)秋さく業務管理課 岩瀬 邦宏

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みちのくだより秋田
中と外から大仙市

私の住む秋田県大仙市は、平成17年3月22日に大曲市、神岡町、西仙北町、中仙町、協和町、南外村、仙北町、太田町の1市6町1村の合併により誕生し、まもなく丸3年が経過しようとしています。

秋田県南の内陸部に位置する大仙市は、人口94513人(平成19年1月現在)、面積867キロ平方メートルの規模で、東はみちのく小京都、桜で有名な角館町、水沢、乳頭温泉等全国的にも有名な温泉群、そして日本一の水深を誇る田沢湖のある田沢湖町、西木村が合併して誕生した仙北市、南は横手やきそば、かまくら祭、名水百選の六郷湧水群を擁する横手市、美郷町。西は秋田県中心都市である秋田市、日本海、鳥海山を間近にのぞむ由利本荘市。それぞれに接する位置にあります。

古くから県南の交流の要衡であり、現在でも秋田新幹線や秋田自動車道等陸路、鉄路の結節点として拠点機能の強化が進んでいるため、県の8地方の一つである仙北地方の中心として国や県の様々な機関が設置されています。

秋田自動車道が整備されたことで、秋田空港へも身近になり、秋田新幹線と併せ首都圏からの一日行動圏に入っており、多彩な交流が可能な立地にあります。

また近年私の住む旧大曲市では、市の区画整理事業による駅前周辺の大規模な再開発、市内を横断する国道13号線を核とした大型店、ショッピングモール、ショッピングゾーンの建設が次々と着手されており、平成20年度は大仙市の需要と供給の流れが大きく変化する年になるのではないかと感じております。

駅前活性化の一端を担う区画整理事業と同時に進んでいる郊外型の商業施設整備。私が言うのも不躾ではありますが、この相反する事業は、建築基礎設計を中心にボーリング調査で荷担してきた私としても、一市民としてどのような効果、どのような文化が刻まれていくのか興味深いところであります。

観光面から見ると、大仙市には、「大曲の花火」という全国的にも有名であり、全国で最も権威ある花火競技会が、旧大曲市の雄物川河川敷において毎年8月の第4土曜日に開催され、近年では一晩で約70万人以上が見物に訪れる一大イベントとなっています。

近年増加した花火大会の来場者数と同時に、会場の有料桟敷席の数もどんどん増設され、現在では桟敷席を購入しないと、まともに会場内で観覧することが困難な状況です。また熱心な花火ファンの方々が、花火大会の一週間も前から会場付近に仮設されたオートキャンプ場に次々と乗り入れ、一夜限りの祭典を今か今かと待ちわびながら、同時に無数のテントが並ぶある種の絶景となり、「この人達は仕事しているのだろうか?」とすら思える人の数に驚きを覚えます。

とあるラジオ番組で、朝、キャンプ場のテントから、スーツを着込みネクタイを締めながらテントから会社へ向かう男性を見た等の投稿を聞き、花火大会への情熱、期待を感じさせました。

確かに、ほぼ毎年会場で観覧する私としても、百聞は一見にしかず。とにかくその素晴らしさは圧巻で、お金を払ってでも見る価値があると断言致します。

「大曲の花火」や地元周辺、また全国的に開催されているイベントの来場者数、一度に訪れる観光客の数が近年増加傾向にある背景として、テレビやラジオでの観光PRの他に、インターネットの普及が大勢を占めているのではないかと感じています。パソコン一台で、あらゆる情報を簡単に手に入れることのできる時代。この効果は、私にも新しい価値観を生みました。

今までにはない「外から見た地元」。かつては首都圏、県外などに拠点を移し31みちのくだより秋田中と外から大仙市(株)秋さく業務管理課 岩瀬 邦宏た友人や親戚等からしか得られなかったような情報が、次々とインターネットを介し私に提供されます。

例えば「大曲の花火」に関して。

現在若者を中心に、ブログ(ウェブログ)というネット上に日記のようなものを日々書き綴り、配信することが流行となっています。私もその一人で、何年か前からブログを立ち上げ、日々の出来事や感じたこと、何でもないようなことまで、時間の許す限り継続的に書き溜めています。

今まで何度も手書きの日記に挑戦したものの、三日坊主で終わってしまう私が継続できるのだから不思議なものです。

ただこのブログ、メディアで伝える大衆的な内容を超え、一個人のリアルな感情が伝わってきます。

外部の方々の「大曲の花火」に関するブログも、夏になると検索すればいたるところで拝見することができます。

通常では、花火大会の来場者数、混雑の状況など、漠然とした情報で終始するのですが、ブログでは、花火大会の前後も含め色々な感想や想いが垣間見ることが出来ます。

臨時運行の電車。山手線のように混雑する電車で思ったこと。

花火大会終了後、渋滞で何キロも、何時間も動かない車内で思ったこと。

何日も前から楽しみにしていたこと。

競争率の激しい桟敷席を手に入れ興奮したこと。

地元の人との交流。

こんな良い人に出会った。

こんな嫌なことがあった。

とても感動した。

もっとこうすればいいのに。

などなど、素直で飾り気の無い我が町、我が地元への意見、感想がたくさん伝わってきます。

「私は地元を愛しています」と迷いなく言いますが、見方によっては外から見る地元への意見の方が的を射ていたり、自分では感じ得なかった感性を得られる機会が増えたことで、地元大仙市への愛着が増し、今後へ役だっていくような気がしています。

私も地質調査というカテゴリーで地元へ貢献していく身として、外的感性を取り入れつつ、更に責任を持って日々を送りたいものです。

皆様は、外部から見た地元をご存知ですか?

最後に、大曲の花火は、素晴らしいですよ。

いや、「色んなことがあって、色んな人がいるから」大曲の花火は素晴らしいですよ☆

皆様も是非一度大仙市へ。

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大曲の花火大会

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