協会誌「大地」No48

(株)ガイア 久木 充

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非常に穏やかで秋晴れの広がる空の下、この度若手オペレータとして東北地質調査業協会のイベントに初めて参加させて頂きました。

今回セミナーに参加し感じた事は、実際現場以外でコンサルタント業者の方とお話する機会が無い分、夜通し話ができた事。非常に新鮮で話題も地質調査に関する熱い内容で、とても楽しく充実した一時を過ごさせて頂きました。またボーリング技術のお話や、個々でいろいろ工夫している現場を見学できたうえにオペレーターからどんな工夫をしたのかを細かく説明して頂き、いちオペレーターとしてとても身の詰ったセミナーでした。

現場の人間としてなかなか作業中は元請けの方と長々と話できませんし、元請けの方も一つの現場に張り付いている訳ではありません。どの業種も同じかもしれませんが、自分が請け負っている現場の担当者はどのような方なのだろうか、どのような雰囲気の会社なのだろうかと思う事があります。そんな想いがあったので、この機会で各会社の方と話ができた事がとても嬉しく、非常に充実した楽しい一時でした。そしてディスカッションでは一つの物事にたくさんの見解があり見方が様々ある事を感じ、そして今地(株)ガイア久木 充質調査に何が必要か、こんな事やってみたいなど、地質調査業の今と将来を想い、見ている事を知り、地質調査そのものと地質調査業務に従事している人を好きになった気がします。

そして現場視察した事について、実際に他社のボーリング作業状況を見る機会といえば、ボーリングマシン等の講習、安全パトロール、同じ現場で作業している状況を見に行く程度で、なかなかこのセミナーの様に踏み込んだ話ができないのです。現場でコアの説明やオペレータによるその現場の留意点、工夫した所、またどのようなコアチューブがどの地層に適しており、そのような掘削方法が望ましいか等、聞きたい事が遠慮なく聞ける。教えてくれる。そのイベントの存在そのものを、とても嬉しく感じ、そして技術を共有する事によって、日本のボーリング技術を後世に残していく想いと広げていく使命を受けた感じです。この度は素晴らしいイベントに参加させて頂きありがとうございました。

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ディスカッションでの意見交換

元 東北地質調査業協会 事務局 辰見 亜紀子

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15年間東北地質調査業協会の事務局で仕事をしていながら「地質調査業ってどんな仕事?」と聞かれて答えるのがこの15年とても難義でした。「う〜んと、ほら、温泉掘ったりあと地質調査とか…(うまく説明できず)まぁとにかくそんな事している業界だよ」。私はこの業界から足を洗うにあたって、今更ながら自分はどんな業界に身を置いてきたのかという事をこの目でどうしても確かめたくなりました。それにはやっぱり現場を見なくちゃ!とずうずうしくも即参加を決めました。my長靴&myヘルメット持参で張り切って参加、女性参加者がいなかったという事もあり、無理を言って某会社のSさんも参加して下さいました。初めて見る現場は私にとっては全てが新鮮でした。中でもいつも地質調査技士の受験願書審査をしている時にしか目にしなかった助手・機長を実際この目で見た時は、あ〜これが助手と機長か!と感動すらしました。それと同時にこの何でもハイテクな時代においてあの作業方法のアナログには驚きました。とても地味な作業、決して楽ではない作業工程、まさに体を張った仕事なのだな…と思いながらその場を後にしました。現場見学で他に印象に残っている事は参加者の方々のコア標本を見る時の眼差しや真剣に説明を聞いている姿です。標本を見ている時の姿などは小さい子供が宝物を見つけたかのように目をきらきらさせ触ったりまた匂いをかいだりしている様を見て(この人達本当に好きで仕事しているんだろうな)となんだか見ている私は微笑ましくなりました。

夜の懇親会では真剣にこの業界のあるべき姿や将来についてをたまには激しく議論しながら活発に意見交換してる若者達の姿を見て、この業界の将来も捨てたもんじゃないな!ととても嬉しくなりました。どうかその熱い想いをいつまでも忘れずこの業界の更なる発展に力を尽くして欲しいと思います。最後に元事務局からの要望で言わせてもらえれば、毎年毎年参加者が減少し参加者募集も一苦労なのです。そこで私は皆さんに呼びかけたい。この「若手セミナー」は皆さんのような熱い若手(自称)技術者の参加を待っています。このセミナーで過ごす時間は決してお金では買えませんよ。皆さんも来年の若手セミナーに参加してみませんか?たまには会社を出て同じ志を持つ他社の熱い地質屋さんと熱く語り合ってみませんか?そう、一晩中…(笑)

(株)テクノ長谷 池田 浩二

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10月25日〜26日にかけて実施された若手技術者セミナーは地質調査業に携わってわずか3年の私にとって大変有意義なものであった。

今回のセミナーはボーリング調査技術の伝承をメインテーマとし、実際のボーリング調査の現地見学が豊富に盛り込まれていた。

セミナーの概要を以下に示す。10月25日正午、山形県村山市碁点温泉に集合した総勢27名の参加者は開会式および集合写真の撮影後、マイクロバスに乗り、村山市内某所丘陵地の切り土現場へと向かった。現場に到着し、全体説明を受けた後、実際のボーリング調査の様子を見学した。ここでは足場の仮設状況や標準貫入試験の様子を見学し、コンサル的所見をまじえながらボーリングコアを観察した。

切り土現場を見学した後は、場所を移し、ボーリングで使用するツールスについて実物を用いながらの説明会が行われた。ダイヤビットや特殊軟岩用ビットなど調査事例をまじえて、その使い方について説明を受けた。

ツールスについて一通りの説明を受けた後は軟弱地盤を対象としたボーリング調査の現場を見学した。山形盆地の沖積平野には軟弱層が厚く広く分布しており、構造物を建設する上で非常に問題になるそうである。また軟弱地盤のサンプリングの難しさについても説明を受けた。現地見学会の翌日にはボーリング調査についての討論会が行われた。討論会では現場でのトイレの話題から掘削技術に関することまで幅広い意見交換が行われ、盛会であった。

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冒頭でも述べたように今回の若手技術者セミナーは私にとって大変有意義なものであった。特にボーリング・オペレーター(技術伝承者)との交流は得るものが多かった。オペレーターには過酷な現場に耐える体力と機械操作の職人的な技量、問題が発生した時に瞬時に適切な対応を選択する判断力が必要であることを教えられた。

またセミナーへの参加意義について、現場では予想しえない問題が多々起こるものである。問題が発生した時、こうした場で情報交換をしておけば、問題解決へのあしがかりが見つかるかもしれない。今後こうしたセミナーが開かれた際には積極的に参加したいと思っている。

最後に今回の若手技術者セミナーを企画・運営していただいた協会技術委員の皆様およびボーリングの調査技術についてご教授していただいた技術伝承者の皆様に深く感謝致します。

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