協会誌「大地」No47

(株)新東京ジオ・システム代表取締役 奥山 紘一

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11.「多くの出会いと感動をありがとう」ー信じる人たちに後を託してー

−図らずもの受賞−

この度、図らずも、文字通り図らずもである。春の褒章で地質調査業精励により黄綬褒章受賞の栄誉に浴することができました。去る5月16日、国土交通大臣から伝達を受けた後夫婦ともども皇居に参内、天皇陛下に拝謁し、ありがたいお言葉まで賜り、まさに感激の極みでありました。

受賞に関しての第一報は、平成18年7月、全地連の池田事務局長からの電話でした。「国土交通省から翌春の褒章受賞候補者として、全地連推薦で申請するから受諾されたい」とのことでした。もとより、寝耳に水、叙勲とか褒章の類にはおよそ無縁なもの、という思いのまま「固辞します」と返事をしました。池田事務局長曰く、受賞決定はまだ数年先のことであり建設関連業間の年次毎の慣例、年功序列のタイミングがあるから、との説得に、二・三回のやりとりがあった後お任せすることにしました。

その後国交省と全地連からの取材を受け、書類を提出した後、電話・ファクス・郵便物による数回の交信があって、暫くして褒章審査票、身上調査・履歴書、会社・団体・民間概要調査書、業績調書、賞罰・性行調書などを詳細に網羅した恐ろしく立派な公文書功績調書が届きました。

年が明けて2月、全地連より国交省から褒章内定予定の内示があった、との報告、続いて翌月内定確定の連絡が入りました。同時に国交省大臣官房から受賞を受託するか否かの最終確認を求められ、お任せいたします、と返事をしましたが、この時点で褒章受賞が決定したようです。然しながら慇懃に「これから受賞までの日々を穏やかに、穏忍自重の上無事(?)にお過ごし下さい」とのお達しが発せられました。要するに受賞決定までに公序良俗に反した行為や非行・非道などにより褒章取り消しの恥辱を受けることのないよう気をつけなさい、ということでした。

かくして聖人君子の如く振る舞うこと90日余、無事にその日、4月29日の公表の日を迎えました。褒章受賞決定の通知祝電・祝花・お祝いの品々とともに記念品・祝賀会・礼状などの豪華な案内書・パンフレット類が山のように送り届けられ、電話・メールが殺到したのには二度吃驚させられました。

文字通り、図らずものこの受賞は、全地連と東北地質調査業協会のご推挙があって代表していただいたものであり、これは偏に永年に渡って数多くの皆様からのご指導・ご高配と感謝しつつも、今後はこの栄誉を汚すことのないよう一層精進を重ね、社会に貢献し、業界発展のために尽くしていく所存であります。

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山本惣一氏 天童商工会議所会頭の祝辞

−東北地質調査業協会理事長の思い出−

平成15年5月、前任の宮川和志理事長から理事長就任の要請があった当時、私はライオンズクラブの国際役員・複合(東北)地区協議会議長と地区ガバナーの重責を兼務しており、多忙極まりない状況でしたが、重ねての要請と役員各位からの全面的ご協力を約束していただいたので、熟慮の後一期二年の約束で理事長就任を受諾しました。

当時の会員数は94社、ピーク時の平成11〜12年の102社には及ばないまでも、今日の厳しい状況すら予想できない、活気に満ちた協会活動を推進していた時期であったような気がします。しかしながら、この年に発刊された「全地連四十周年記念誌・東北協会この十年」に、私は昨今の社会情勢・経済環境の激変と技術革新のうねりは、協会設立以来未曾有の危機的環境への動きと「変革への対応」を余儀なくされる、と予見し、寄稿しました。

これからの時代は、古きに決別し新しきをとる変革への対応と、旧体制からの脱皮を図ることが最優先課題であり、協会運営の体質改善と合理化・スリム化を図り、協会活動を活性化させようと提案し、「協会活動検討委員会」を特設して議論を重ねました。

一期二年が過ぎて、「技術フォーラム仙台」開催の主管地区協会としての重責から、もう一期二年理事長を継続して務めることになり、実行委員会の諸兄とともに議論し、東奔西走、努力した結果、成功裡に終了したフォーラムに対して、内外からの高い評価は、以後の各地区持ち回り大会に立派に活かされ続けられていることから認められたもの、と自負しています。

スリム化・合理化対策による成果は、今年1月から当協会が、(社)斜面防災対策技術協会東北支部と(社)全国さく井協会東北支部の事務局統合を提案し、小さなキャビネット運営で大きな事業推進の成果を期待できる体制を構築しました。

同時に各委員会の統廃合や役員構成の見直しなどの組織改革を断行して協会運営の活性化を図ることにしましたが、年々業界に押し寄せる不況の波は予想以上に厳しく、会員の市場からの退場と脱会が後を絶たず、現在70社を割る会員数になってしまったことは誠に残念であり、慚愧に耐えません。

−信ずる人たちに後を託して−

今年5月、私は地質調査業精励による黄綬褒章受賞を機に、早坂功理事長に後を託することにしました。新理事長には混迷する社会情勢と景気低迷の長引く中、協会設立以来、永年にわたって培い、磨いてきた地質調査業の技術と信頼を基に、会員同士が互いに切磋琢磨し、専門業者としての誇りと責任をもって地質調査業の社会的地位向上を目指して、リーダーシップを発揮していただきたいと思います。

−多くの出会いと感動をありがとう−

「石の上にも三年」という諺にあるように、見よう見まねで一つの道に励んでいれば、私のような浅学非才の者でも長い間にはきっと認めていただける、ということを知ることができました。この業界にお世話になって40年有半、私は数え切れないほど多くの人たちの出会いの中から大きな感動をいただき、多くのことを学ぶことができた、貴重な半生であった、と思っています。

数え切れない多くの出会いと感動をありがとうございました。

直筆文章

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早川功氏 東北地質調査業協会理事長の祝辞

−編集部から−

奥山紘一氏におかれましては、平成19年度定期総会で理事長を早川新理事長に引き継ぎされました。理事長として永年当協会の発展に多大なるご尽力を頂き、厚くお礼と感謝を申し上げます。

さらに、奥山氏の業界活動・社会貢献が公的に評価され5月16日に黄綬褒章を受賞されたことは、東北地質調査業協会の栄誉でもあります。編集部からも心よりお慶び申し上げます。

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