(株)コンテック東日本 山田 満 |
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平成18年10月中旬、社長より機関誌「大地」に寄稿するよう指示があった。しかし、いざ報文を書こうとすると「さて、何を書けばよいのか」と筆が進まず困り果ててしまいました。
原稿の締め切りも迫り、機関誌担当の仲屋氏に確認したところ「どういうことでも結構です。」という当誌の担当者のお話でございました。
仕事がら、報告書を作成する他は、地質調査技士やRCCM試験論文くらいしか経験がなく、思索的な随想の文才もありませんし、少々勝手が違い、ついつい仕事の方へと思考が向いてしまいます。そんなわけで、担当者の意をそのまま受け、地質調査業務を担当して感じていることを、最近担当した業務を例として述べたいと思います。
担当した業務は、ボーリング2孔と土質試験を含む護岸安定解析であった。既往の調査結果では浅部に基盤岩が分布し、業務内容は河川改修に伴う計画断面の安定チェック程度と考えられた。
しかし、念のため地質を専門とする上司とともに現地踏査をしたところ、「あれ、ちょっと変だなぁ」と感じたことがあった。それは以下の点であった。
これらの踏査結果から、過去の地形を確認する必要があると考え、空中写真から地形判読したところ、以下のことが推定された。
また、ボーリング調査結果からは、写真判読で推定したとおり基盤は深部に分布していることがわかり、計画していた護岸では支持力および安定上問題があることがわかった。
これらの検討結果を受け、対策工を検討するための詳細調査、パイプ歪計による歪み、地下水位の自動観測を行い、その結果を利用し、設計の見直しがされ、今後対策が施工される予定である。
この業務で私が思ったことは、この種の業務の場合、機械的にボーリング調査し、背後地の状況を考えることなく、安定解析の結果をうのみにしていることが結構多いのではないかということです。最近、建設事業コスト縮減が叫ばれて、十分な地質調査がなされていないケースが多々あるように思います。
しかし、今回の例のように、事前に地質性状と施工条件等を十分検討し、調査・設計段階で地質技術者の専門的判断が加われば、事前予測から工法の見直しなどを検討し、リスクを回避できる可能性があると考えます。
このことから私は、地質調査技術者が調査から設計、施工の各段階で参画できるような環境を整備する必要があり、また、私達地質調査技術者はそれにふさわしい技術力を身に付けていく必要があると思います。
以上、とりとめもなく稚拙な内容となりましたが、私の「みちのくだより」とします。