新和設計(株)仙台支店 中村 光作 |
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私は仙台生まれ、仙台育ちなので、子供の頃から見てきた仙台のお祭り・おかしな風習について、仙台っ子としての私なりの思いをまじえて紹介してみます。
1月14日の夜、大崎八幡神社の境内で正月の松飾りが燃やされます。地方・地方でいろいろな呼び方がされているようですが、仙台ではどんと祭(さい)と呼ばれています。
昔の人はどんとの火で餅など焼いて食べたのだろうか。
朝まで燃やされます。「どんとの火」の輪が直径10mとすごく大きいです。
八幡神社までバスで行く人(このため臨時バスも出る。)、タクシーで行く人、歩いて行く人、昼間から早々と行く人、深夜に行く人、さまざまで市民には結構人気があります。
子供の頃は八幡町まで歩いて行き、もしくは市内電車に乗って行き、そこの造り酒屋の天賞でお神酒など飲ませられて、神社の石段を登り、神社にお参りし、社務所でおみくじを買って、その場で開き、それを境内の神木に結んで帰るのが昔からの習慣でした。また、帰りに夜店で纏(まとい)を買って1年間家の神棚に飾っておくのです。
どんとの火を囲んで何重もの人混みとその外側に消防車の列。空を見上げると周りを囲む杉木立の中、どんとの火がもうもうと立ちこめている。壮観なながめです。
この日を目指して各会社、デパートなどで「はだか参り」のグループが結成されます。よく人前ではだかになれるものだと感心します。はだか参りの装束と寒中での裸の勇壮さに人気が集まるのでしょうか。装束ははだかにサラシ、はちまき姿、提灯を持って、口には白紙をくわえ、手持ちの鐘をカラン・カランならして行進していきます。先導は提灯を持ち、人混みをかき分けて境内に進みます。はだか参りの列は最優先されるようで、行く途中の雑踏、境内での人ごみもはだか参りの列には道を開けます。まるで人ごみの中の有名人みたいに。
写真提供:inter's attaic
これを見ている側も寒い。最近ではサラシの上に袢纏(はんてん)を着た会社の女性陣が参加するようになり、その場を盛り上げています。
どんとの火にあたると一年間風邪をひかないなどと言われているので、みんなこぞって行くのでしょうか。(どんと祭は各町内の神社でも行われているので、近所でもできるよ。)
12月12日から31日まで、定禅寺通りや青葉通りのけやき並木がイルミネーションで飾られます。
飾りは年々豪華になり、開会式のイベントや毎日のスターライトウィンクなども行われて人気が集まっています。
定禅寺通りでは中央のグリーンベルトが歩けることもあり、真ん中から見上げる並木のかざり、クリスマスの「サンタの森の物語」など見どころがいろいろとあります。
今年も開催の時期となり、東北各地から、東京方面からの観光客で混み合っています。
今年は思うように寄付が集まらず、イルミネーションの数が少ないとうわさされていますが、どうして、どうして、通りは端から端までイルミネーションで豪華、すごいです。
もう、定禅寺通りの歩道は人の波で真っ直ぐ歩けないほどです。三脚で写真を構える人々、ケヤキ並木を見上げる二人、子供づれのファミリー、すっかりお祭り気分です。
定禅寺通りの光のページェント
毎日午後11時まで、最終日の大晦日は12時まで点灯しています。大晦日の消灯式は、その瞬間を見る人々で深夜まで渋滞しています。
深夜、人通りが途絶えて見上げるページェントのけやき並木と飾り、その向こうに見える星々。なんとも言えない冬の仙台の風物詩なのであります。
仙台で地下鉄やJR線を利用しエスカレーターに乗ると、エスカレーター立ち止まり派とエスカレーター歩行派に分かれていることに気がつきます。私は立ち止まり派。
歩行派は世の中セカセカ生きているように見えて私の心意気(?)ではないです。
エスカレーターは人を運ぶ乗り物だろう。なんでエスカエーターに乗ってまで歩かなくてはならないのだろうかなんて思ってしまう。いつもエスカレーターに乗るとドカッと普通に立ち止まっています。
仙台では立ち止まり派は右側に、歩行派は左側に並んでいます。
けれども東京では不思議に人の位置が逆である。東京に出張して駅でエスカレーターに乗ると、立ち止まり派はみんな左側である。右側に並ぶと、そこから後ろの歩行派はみんなつかえてしまい、変人扱いされてしまいます。それでほかの人に習って左側に並んで平気な顔をしています。
でも、夜、仙台に帰ってくるとまた逆の右側なので都会人のフリをしていた田舎ものは、はたと迷ってしまうのでした。
毎年5月に行われる青葉神社(青葉区通町)のお祭りです。
一昔前は通町界隈を神輿(みこし)と稚児行列がねり歩く程度の小さな祭りでした。
現在は東二番町通、定禅寺通を歩行者天国にして大々的にパレードが行われています。
仙台市宮城野区ホームページより
すずめ踊りや山鉾巡行などの行列があり規模が大きくなっています。
市民参加型の祭りなので大勢の市民が参加して観客とともににぎやかです。特に、すずめ踊りは各学校の小学生のクラスや各種サークルの人達がたくさん参加し、このために何ヶ月も前から練習して盛り上がっています。芽生え始めた定禅寺通のけやきの緑が祭りに花をそえます。
仙台の町を歩くと、場所により交差点がクランク状に曲がっているところがあります。これは仙台が城下町であったことの名残で、「武者返し」と呼ばれています。侵入者(敵)の来襲にそなえて四つ角をわざと曲がりにくくしています。道をまっすぐ行くはずが、例えば右に曲がって、さらに左に曲がらなくてはならない。車でも自転車でも非常に不便です。こんな交差点が旧市内には何箇所も残っている。
これに比べて神社の参道の町は不思議に通りがまっすぐです。青葉神社の参道である通町や二日町、東照宮の参道である宮町などでは正面に神社の鎮守の森がみえるほど真っすぐです。八幡町も変則であるがまっすぐ延びているようにも見えます。
北三番町の町並み
このほか、寺町である青葉区の新坂通り、北山や子平町(旧半子町)などは旧市内の北西に半環状に位置していて、敵の来襲に備え、もし敵が攻めてきたら墓石を倒して城壁の代用にする仕組みになっていると聞いています。
このようなことを考えると仙台の町並みもよく見ると結構、不思議に面白い!です。
買い物の額によらず景品に差をつけないのが仙台の商店の慣わしだったのですが、最近では中央企業の支店も加わったこともあり、元日から開店するところ、買い物の値段によって景品に差をつけるところも出てきていろいろです。
写真提供:ちいさな町のフォトギャラリーホームページ
若者たちには福袋を出す店が増えて人気があるようです。福袋の中身は家族や仲間にサイズが合うものであればよいのですが、そうでない場合は買い物としては買得でしょうか? いがいに損だと思います。
仙台っ子は、どうせ買うならと一年前から待って初売りの値引きをねらうほうが得なので、いろいろな品目でこの日を待っている人が多いようです。
秋になると仙台市の中央を流れている広瀬川河畔は芋煮を楽しむ人々でいっぱいになります。
思い思いに川原の石でかまどを作り2・3人から10人ほどのグループで鍋を囲んで芋煮を楽しみます。
仙台ではこのことを「芋煮会」と言います。
写真提供:cool booyの日記ホームページ
この時期になると、市内のコンビニやホームセンターではたきぎを売ったり大鍋を貸し出したりする店があり、けっこう繁盛するようです。
仙台で芋煮の中身は大根、白菜、ジャガイモ、豚肉、キノコ、豆腐、コンニャクなどで味噌味です。
これに対して、山を越えた向こうの山形では、しょうゆ味、牛肉、サトイモ、ごぼうなどを入れるのです。山形の人は自分のところが一番うまいと思っている。私も山形に行って食べるとウマイ。でも仙台に帰ってきて仙台版を食べるとこれまたウマイ。地方地方、風土によって味が微妙に違う、その土地の空気を味わいながら食べるとウマイ。これまた不思議です。
11月末の日曜日、雨の川原で芋煮をす るグループ、12月半ばの寒い日まで芋煮 をするグループがいて一部ではかなり盛 り上がっているようです。
仙台には「仙台時間」と言って時間にとてもルーズな風習があります。例えば、友人と待ち合わせた場合に、「3時に駅で」と時間と場所を決めたとします。普通は待ち合わせ時間より早く家を出て、待ち合わせ時間には待ち合わせ場所に行く。これはごく普通・アタリマエのことです。
ところが仙台っ子はなぜか3時に家を出る。待ち合わせ場所に着くのはどう考えても3時半あるいはそれ以降になってしまいます。待ち合わせに遅れても平気な顔をしている。これを仙台時間と言います。
仙台人どおしで待ち合わせをすると、お互いに時間に遅れるので両方の会う時間は合ってしまう。
ところが、他県出身の人と待ち合わせると、仙台っ子は待ち合わせ時間に遅れてしまうので、時間のルーズさがばれてしまう。
人と待ち合わせをすると待ち合わせ時間に遅れてくる。あの人は「仙台時間の人だ」と言われて、きらわれてしまいます
何はともあれ、悪しき習慣です。子孫には残したくない習慣ですね。