協会誌「大地」No46

(株)復建技術コンサルタント 吉松 一橋

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16.若手技術者セミナーに参加して

私は、復建技術コンサルタントに入社して2年目になります。現在、調査防災部の調査課に配属され、地質調査関係(主に、岩盤系の調査など)の仕事をしています。まだまだ新米なので、今回の若手セミナーに参加させてもらいました。今年のセミナーでは、1日目に現場見学会、2日目に討論会が行われました。

最初の見学場所は、常磐自動車道の施工中に崩壊した法面でした。ここでは、法面の観察とスケッチを行いました。私は、会社の先輩なしで、法面観察をしたこともなく、先輩の行動を思い出しながらの作業でした。しかし、災害の状況を上手に伝えられるようなものは、なかなか書くことが出来ずに終わってしまいました。短時間で、現場の状況を把握し、人に理解してもらえるようなスケッチの難しさを痛感させられました。

次の見学場所も常磐自動車道の法面観察でした。ここでは、古生層の相馬中村層群を観察し、横断図・縦断図上に描くという作業を行いました。地層の観察の経験はあるので、それなりに出来るかと思いましたが、実際の現場の状況を断面図上に示す作業は勝手が違い、ここでも、単なる地層の観察程度に終わってしまいました。

また、2箇所の法面観察を通して感じたのは、施工を考慮して観察することが、まだまだ出来ないことでした。

次の見学場所は、真野ダムでした。真野ダムでは、地層の観察は、残念ながらありませんでしたが、事務所内で建設当時の調査の状況や関係する地質の説明を聴くことができました。ダム建設の大変さは、この業界に入るまでは、あまり知りませんでした。説明を聴いてみて、その調査の内容・精度が、当然だとは思いますが、非常に高いものであったと感じました。また、福島県のダムの配置と、地質構造との関係(地図上でのダムの配置から、地層の安定性が大まかに把握できる)は興味深かったです。

事務所での説明の後には、ダムの提内を見学させてもらいました。ダムの提内に入るのは初めてで、少々緊張してしまいました。提内には、地震計や流量計といった各種の計器が備わっていて、ダムの状況がいつでも把握できるように、厳重に管理されていました。提内には点検用の通路程度しかないと思っていたので新鮮でした。

現場見学会の後は、意見交換会でした。ここでは、他社の方々と、色々な情報を交換することができ、良い刺激になりました。特に、専門分野が異なる方が多かったので、興味深いお話も聴くことができました。

セミナーの最後は、2日目の討論会でした。ここでは、私たち若手の小さな疑問点について、先輩方の豊富な経験談を交えて、討論することが出来ました。他社の方々と、日頃の悩みや問題点について、語り合うことが出来る場は今まであまりなかったので、とても勉強になり刺激になりました。

最後になりますが、私は、今回のセミナーに参加したこで、他社の異なった専門分野の方々とも議論することができ、また、現場見学の貴重な機会にもなり、非常に勉強になりました。

この業界では、最近は若手が少なくなっているようですが、今後も、本セミナーのような機会を利用して交流の場を持ち、良い刺激を得るだけでなく、与えることもできるようになれば、自身の成長にも繋がると感じました。






(株)ダイヤコンサルタント 出口 洋史

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若手技術者セミナーに参加して

この度12月7日、8日の二日間、福島県相馬市において東北地質調査業協会主催で行われた「平成18年度若手技術者セミナー」に参加させて頂きました。

一日目は常磐自動車道の切土の現場、真野ダムの見学を行いました。まず、常磐自動車道の現場に関しては切土法面の地層のスケッチ実習がありましたが、満足のいくスケッチが出来ず土質・地質の技術者も絵心が必要なんだなあと痛感しました。また、露頭観察に当たり、クリノメータを使用しましたが、学生時代に学習しただけで実際に使ったのは初めてだったので、いざ使ってみると予想以上に難しく苦労しました。日頃、業務で軟弱地盤にしか触れていない私にとっては、実際に地層の走行傾斜の見方を教えて頂いたので非常に良い経験をさせて頂きました。

次に真野ダムの見学に関してですが、最初にダムの所長より真野ダムの地質について丁寧に説明して頂きました。若い技術者には正しくボーリング結果や地形・地質を見る目を養って欲しいと言われたことは、心に残りました。ダムの地質と概要の説明を受けた後、監査路を見学しました。思いの外、階段が急だったので監査路から出たときには腿が痛くなっていました。ダムの堤体内の監査路を見学できることは今後もめったにないと思いますので大変貴重な経験をさせて頂きました。

現場見学の後、ホテルに戻り意見交流会を行いました。私はこの業界に入って初めて同業他社の方々との意見交換の場を持ちました。初対面ということもあり、緊張しながら周りの方々と仕事の話ばかりしていました。仕事に対する取り組み姿勢や現場の人との接し方など自分にとって参考になる話もあり、とても楽しい時間を過ごしました。もっと多くの方々とお話がしたかったのですが、時間が無かったのでその点に関しては大変残念に思いました。

二日目は、グループディスカッションを行いました。私の持ち込んだテーマは「スウェーデン式サウンディング試験における土層の判別方法」についてであり、仕事上スウェーデン式サウンディング試験を行う機会が多いのでどのような意見がでるか期待しておりました。討論の内容としましては、回している感触と音で土層を判別するといった意見が多かったのに驚きました(私も土層の判別は感触で行っていたので)。私は普段人力でスウェーデン式サウンディング試験を行っており、機械(自動式)は使ったことがないので、自動式の場合はどうであるか質問したところ、自動式は数値のみで判断し感触がわからないから土層が判別しにくい、これに対しロッドを触っていると地層の違いが分かると言う意見、自動式と人力では値が違うなどの意見があり大変参考になりました。

今回、初めて若手セミナーに参加して日頃経験することのない貴重な時間を過ごすことが出来ました。現場見学はもちろんのこと、ディスカッションにおいても自分にとって得られたことが多かったので、これから仕事をする上で今回の経験を活かしていきたいと思います。

最後に、今回のような貴重な経験をさせて頂いた東北地質調査業協会の関係者、並びに出席者の皆様には感謝し、お礼を申し上げます。来年度も機会があれば是非参加したいと思っておりますので、若手技術者にとって貴重な経験の出来るこの若手セミナーを今後も継続して欲しいと思います。






(株)新東京ジオ・システム 清野 裕丈

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若手技術者セミナーに参加して

入社以来、私は永遠の若手であります。若手といっても現在32歳、年に2、3回行うスウェーデン式サウンディングなどでは、毎回重りの重量が増してくる感覚と、終わった後の疲労感には少々驚きを隠せません。

単に若手だからか、日頃の勉強不足を補わせるためなのかは解りませんが、当セミナーへの参加回数も、順調に増えつつあります。具体的には、4回程参加させていただいたと思うのですが、参加人数は減少傾向にあり、お会いする方も決まってきているように感じます。これは、ある意味では顔なじみのメンバーが多くなり、楽しい催しでもあるのですが、若手から中堅セミナーに変わりつつあり、本来の趣旨からやや外れた、ハイレベルな話題も多いので少々気合いを入れたくなるこの頃であります。

しかし、今回は、入社1〜2年目という方も何名か参加しており、経験年数や実年齢はクラス別となり、「若手:中堅:ベテラン」=「初参加:顔なじみ(座長):主催者」の構図が出来上がっていたようです。これは、非常に良かったと思われる点であり、討論会では、それぞれ3つのフィルターを通したような明確化した意見を聞くことが出来たと思います(ケースバイケースなど曖昧な結論もありましたが・・・)。

討論会の内容としては、最近は「地すべり」と「軟弱地盤」とに別れて行われることが多いようです。両者とも扱う内容が非常に大きく漠然としているのですが、これは、若手技術者が少なくなり、個人が担当する日頃の業務内容も多様化してきている現れではないでしょうか。特に座長に選ばれるクラスの人は、なかなかテーマを絞ることが難しいのではないでしょうか。

また、今回のセミナーの目玉として、切土面の観察とダムの現地見学がありました。屋内で行う地味な形式よりは、改めてフィールドに出て、いつもの上司とは違う他のベテランが現場で発する言葉を聞くことは、新鮮味があり若手セミナーとしては非常に有意義なものだと実感しました。

最後に、当セミナーの最大の魅力は、日頃はライバルである方々と親睦を図れることではないでしょうか。といっても、べつにライバル心剥き出しの人はいないでしょうが、特に若手とされる人は、普段は他社の方と話をする機会は少ないと思われ、こういった機会にいろんな人と知り合えることは非常に心強いことだと思います。

次回開催は、記念すべき第30回を迎えるということで、名称は「若手セミナー」ですが、ベテランまで多くの方が参加し、是非盛り上がって頂きたいと思います。

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