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いわき市は、福島県の南東部、東北地方と関東地方との接点に位置し、東は約60kmの海岸線で太平洋に面しており、西は阿武隈高地を介して福島県の中央部に接し、南北に約52km、東西に約39km、面積は約1,231km2に及び、福島県全体の約8.9%を占める広大な市域を有する市です。 地形は、西部の山地と東部の平地に大別され、山地は最高海抜965mの矢大臣山をはじめとして、平均700m前後の山々が連なっています。これらの山々は、6,500万年以前に形成されたとみられる深成岩と、それよりも古い時代の岩石から成る変成岩からできており、山地の多くは風化作用を受けて、なだらかな地形となっています。 海岸線は延長約60kmに及び、砂浜と礫が交互に現れる景観は変化に富むもので、薄磯や勿来などの浜は、関東地方から東北地方にかけて有数の海水浴場として、市内ばかりでなく、県内外からの観光客に親しまれています。また工業地帯が形成されている一部の海岸を除き、大半の海岸には多くの自然が残されており、市民の自然とのふれあいの場となっています。 太平洋に面し海流の影響などにより、最も温和な海洋性気候が特色の地域で、梅やサクラは、県内で最初に咲き始めます。夏井川渓谷やいわき湯本温泉郷をはじめとする温泉、国宝白水阿弥陀堂、勿来の関跡などの歴史的文化財、石炭・化石といったエリアならではの地球の歴史の旅まで、多彩な楽しみが広がる地域です。 【鶴の伝説】 二人の旅人が、ここ佐波古(さはこ)の里を訪れると傷ついた丹頂鶴が降りてきて、湯気たちのぼる泉につかっていました。かわいそうに思った二人が傷口を洗ってあげると鶴は元気に飛び立っていきました。 数日後、巻き物を持った高貴な美女が訪ねてきました。巻き物には「この佐波古の御湯を二人で開いて天寿を全うし、子孫の繁栄をはかるべし」と記してありました。 二人はさっそく、湯本温泉を開きました。 いわき湯本温泉は「三箱の御湯」と呼ばれ伊豫国道後温泉、摂津国有馬温泉と共に日本の三古泉として名が知られていました。中世には戦国大名の来湯も多くあり、江戸時代は浜街道唯一の温泉宿場町として文人墨客の来遊が絶えませんでした。 明治三十年には常磐線の開通によって観光客が増大し、昭和六十三年の常磐自動車道の開通によって首都圏からの遊客でにぎわっています。今日では福島空港が開港、さらに磐越自動車道が開通し、より一層交通の便が良くなり、全国から訪れる観光客が絶えません。 源泉は、常磐地内の地下約50メートルから汲み上げた毎分5トンの湧出量を誇る摂氏59度の天然硫黄泉で、完全放流式で町内の地下を通して各施設に配湯しています。 泉質は全国的に珍しい【含硫黄−ナトリウム−塩化物・硫酸塩温泉】で、「美人の湯」(美肌作用・解毒作用・末梢血管拡張作用)、「心臓の湯」(血圧を低下させる〜動脈硬化、高血圧に効く)、「熱の湯」(高齢者向き〜保温効果が高い)を始め数々の効能を併せ持っています。 いわき湯本温泉の泉質 ●源泉名/いわき湯本温泉 湯本温泉源泉 ●湧出地/福島県いわき市常磐湯本町台山20番1 ●泉 質/含硫黄−ナトリウム−塩化物・硫酸塩温泉 (低張性弱アルカリ性高温泉) (略記泉質名:含S- Na- Cl ・SO4 温泉) (掲示用泉質名:硫黄温泉) ●源泉温度/59.0 ℃(気温17.0 ℃) ●外観/無色透明、無味 ●臭味/硫化水素臭 ●湧出量/1分間4,750 リットル ●水素イオン濃度/(PH )8.1 ●分析機関/福島県衛生公害研究所 ●分析申請者/常磐湯本温泉株式会社 |
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