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琥珀は、金銀鉱山のなくなった昨今、唯一岩手の宝の山として存在感を誇示しております。古代ギリシャでは、琥珀をエレクトロンと呼んでぜんそくやリュウマチの妙薬として利用した他、呪力のある石として呪いなどにも使用されていました。 久慈の琥珀は、6世紀中ごろの奈良東大寺山古墳等でも出土しており、この頃既にアンバールートが構築されていたものと考えられている。我が国の琥珀産地は、久慈を除くと石川、長野、岐阜、太平洋沿岸では福島、茨城、千葉の各県が知られている。但し現在採掘の行われているのは、久慈市小久慈町のみである。 琥珀(Amber )、C40H64O40樹脂の化石、非晶質、硬度2,0 〜3,0比重1,04 〜1,10貝殻状断口、樹脂光沢、黄〜褐赤色半透明、屈折率1,54約180℃で軟化し250〜300℃で溶解、固有の臭気を上げて燃える。 世界の産地:バルチック海沿岸、シチリア島、ルーマニア、ミャンマー、ソビエト連邦、 日本の産地:岩手県久慈、千葉県銚子市長崎町 地学辞典、平凡社刊 琥珀は、主に松柏科植物の樹脂が化石化したものであり、親木は松の類であるが、日本の場合はシダ類(ウラボン科)と南洋杉科であろうと推論されている。現世の松類は、新第三紀になってから出現したものであるが、南洋杉は、南半球に現存することが確認されている。従って現世の松類の化石ではない。久慈の琥珀は、白亜紀後期玉川層に産するもので8600万年前後と推定されている。本層は、礫石、砂岩、泥岩などからなり、琥珀は砂泥互層の中に産するとされている。野田村玉川付近を模式地とし、層厚は190mに及んでおり牡蠣礁や植物化石層を挟む。 所で琥珀は、縄文後期から腕輪、首飾りとして利用され、現在その多くはペンダント、ネックレス、カフスボタン等として高い人気を博している。前書きが長くなりましたが人は誰でも美しいものに憧れるものであり、特に貴石や結晶の奇麗な鉱物には独占欲が生じるものだと思う。 この間、琥珀体験採掘の実施されている事を新聞で知り、早速友人を誘い出かけてみました。採掘場は、琥珀館から車で10分程の谷あいにあり、縦横20×20m位の広さに表土がカットされシルト岩が露出している。時間は1時間に制限されており、皆一生懸命にハンマーを振るっているが、目指す宝物は出てこない。暗緑灰色のシルト岩は、ハンマーの先端が3cm位めり込む程度の硬さで、シダ類や南洋杉と思われる針葉樹の破片に混じって小豆代の物が若干見つかる。時々周囲から大きな歓声があがる。見つかっているのだろう。30分位して半ば諦めかけた頃ようやく親指の爪位の黄色半透明の琥珀が現れた。 友人は、未だ音沙汰なしである。小さいものの近くには大きいものが必ずあるという。 前日の降雨で水溜りができており、泥が顔にはじく。残り時間が10分位となりもう止めようかという頃、出た出た赤褐色の塊が!それは、ややいびつな形をし赤みを帯びた飴色不透明のものだった。 紙面の制約があり残念ではあるがこの辺でペンをおくことをお許しいただきた。機会がありましたらこの続きを報告したいと思います。是非皆さんも琥珀堀に挑戦し楽しい夢を追いかけてみませんか。 久慈琥珀館:久慈市小久慈町19- 156- 134 TEL 0194- 59- 3821 琥珀体験 期間:自4月下旬〜11月中旬、毎日、但し雨天中止 時間:午前11時と午後2時の2回 料金:高校生以上1,000 円、小学生700円 申し込み:前日までにTEL 、Eメールで申し込むと便利 参考資料:田村栄一郎著 琥珀誌 社陵印刷 平成11年 |
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