熊谷 広幸 松岡 直子 藤井 伸晃

地質基礎工業(株)調査課

熊谷 広幸

27.平成17 年度若手技術者セミナーに参加して


 今回、若手技術者セミナーは、宮城県仙台市秋湯温泉にて、1月26日〜27日の2日間にわたり開催された。

 私は、地元測量設計コンサルタントから地質調査業の門を叩いたばかりで今回のセミナーに参加していいものか、不安だったが、上司の後押しもあり参加することが出来た。

 実際、このセミナーの率直な感想は、私の技術力不足、経験不足を身を持って体験できたのではないかと思う。また、業界の若手技術者不足が懸念される中、20 名弱ではあるが、技術を高めようと集まった事に驚き、とても刺激を受けた。

 セミナーの内容では、1日目「経験発表及び話題提供」が行われた。日頃の業務に通じる事から、地質調査業界の将来性についてまで幅広く様々な講演が行われた。また、地すべり調査など普段耳にしているが、実際業務に携わることが出来ないので、一体どの様な流れで調査業務が行われているのか曖昧だった事が、発表を聞くことで自分の持っている知識と全く知らない事が一つ一つ穴埋めされていく面白さ、そして、経験の浅い私でも十分に理解し得る内容だった。

 意見交流会では、温泉に浸かったせいかリラックスした雰囲気の中、日頃の疲れも忘れて会話も弾み、楽しい時間を過ごせたと思う。普段、同業者の方々と知り合う機会が少ないので、仕事の話や各地元の話が出来たのはとても新鮮で有意義であった。

 二日目「グループディスカッション」では2グループ(地すべり班、軟弱地盤・平地班)に分かれて、各テーマ(事前に取り上げて欲しいテーマ)に沿って討論が行われた。私が提供したテーマは、あまりにも抽象的なもののか困ってしまったが、グループの方々が、一つ一つ掻い摘んで熱心に説明してくれた事で、自分の不足している部分がより鮮明に理解することが出来た。通常の業務では基本的過ぎて、なかなか聞くことが出来ないものを再認識することがグループディスカッションで得た何よりの戦利品であったと思う。

 今回初めてセミナーに参加して、地質調査業界の若手技術者に触れることで刺激になり、この業界の将来への不安(受注が減少傾向にあることや団塊世代の退職後等)や期待(地質調査の奥深さ、面白さ等)を十分に肌で感じることが出来た。また、私がこれからやるべき方向へと導いてくれた気がする。この思いを普段の業務では勿論、技術者として更なるステップアップを目指し頑張っていきたいと思う。また来年の若手技術者セミナーに参加したいと思うし、参加できるのであればひとまわり大きくなって(体型ではなく技術力)参加したい。

 最後に今回の若手技術者セミナーを開催していただいた東北地質調査業協会の役員の皆様に深く感謝するとともに、引き続き毎年開催していただきたいと思う。
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応用地質(株)東北支社 技術部

松岡 直子

27.平成17 年度若手技術者セミナーに参加して


 新人の視点から地質業界へのぞむこと、「きっかけ」

 東北地質業協会主催の若手セミナーに参加した。2 日間にわたってのセミナーは大変充実したものであった。

 昨年の4月に入社して今まで色々な人と色々な現場に行った。特に地すべりに関する現場が多かったように思う。大学では地質や地形を専攻していたので、自然に地すべりという現象に興味を持った。地すべり地形を写真判読したり、露頭で地すべり堆積物の構造を記載するのが面白かった。

 しかし、仕事として地質調査をするとはどういったものなのかがずっと分からなかった。何に着眼していいのか、発注者の要求は何なのか分からず、ずっと悩んできた。

 今回のセミナーでは、新入社員から30代の方までいろいろな若手が参加していた。業務に補助的にしか携わっていない人、業務の責任者となっている人、現場管理を行う人、経験も職種も様々であった。そして若手に共通するのは、それぞれ会社でつまらないことに一人で思い悩んでいることだ。

 技術委員の方々の講話は、地すべり調査のやり方、Web GIS 、軟弱地盤調査の紹介、現場管理上の留意点、地すべりの色々な事例と、多岐にわたるテーマであった。いずれも地質業の入門的な内容であったし、最後まで諦めずに聞くことができたのは、技術委員の方々が、各自の経験だけに基づいて話して下さったからである。非常に臨場感があり、新鮮に感じた。

 若手には経験がない。業務を遂行しようとするとき、自然現象に対して計画通りに調査が進むことなんてあり得ない。そのような困難にぶつかったとき、頼るものは経験者のアドバイスしかない。しかし、聞ける状況にない。

 業界としてのつながりが大事であると思う。頻繁に技術発表会をしたり、現場見学会をおこなったり、とにかく技術者の交流を行うことが必須である。新人としての勝手な意見であるが、互いの経験を話し合ったり、同じ露頭の前で議論したりすることが共通の認識を生み、地質業界の技術力の底上げになると思う。若手が悩みを話し合うことができれば、活性化につながる。

 経験は、その人の技術力となる。技術は伝承するものだ。知識だけならテキストに載っている。自分で経験しなくても、経験者の話を聞くことで若手は解決のきっかけをつかむ。そのきっかけがないばかりに、先の見えない業務に絶望し、仕事につまらなさを感じてしまうひとがいる。

 地質調査をする仕事についたのは、ただ地質が好きだからという理由である。業務のおかげで、多くの地質学的現象を観察できて、本当に面白かった。しかし地質的な興味以外で、仕事をするという楽しみを見出せなかった。セミナーで話し合うことでまた違う楽しみができたように思う。

 今回のセミナーを主催してくださった東北地質業協会の皆さまに感謝いたします。そしてまた次回も開催し、若手に地質業界の楽しさ、やりがいを教えてくださるようお願い申し上げます。
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(株)復建技術コンサルタント調査防災部調査課

藤井 伸晃

27.平成17 年度若手技術者セミナーに参加して


 去る1月26日、27日の2日間にわたって秋保で開催された若手技術者セミナーに参加し、セミナーの印象を述べる機会を頂きました。ここに忌憚ない感想・意見を述べさせて頂きたいと思います。

 1日目は、技術委員による講義が行われました。発表は経歴10 年以上の技術者によるものであり、全体を通じて非常に興味深い内容でした。テーマは「地すべり」から「軟弱地盤」まで広範な内容を扱っていました。講義は地質調査の基本的なアプローチである、

   1.問題点に対する調査・試験内容の確認
   2.調査位置・数量、試験内容の選定
   3.調査結果の妥当性の検討
   4.対策工検討上の留意点

という流れに沿った内容のため、私を含めた実務経験の少ない技術者にとっても十分な理解が得られたと思います。加えて、講師自身の体験談や、変状の実例や技術の現状を交えた発表であったため、より理解を深め易かったと感じました。

 私自身、現時点では力量・経験が不足しているため、問題設定のズレがあり、物事を明瞭に伝えることが満足にできておりません。今回これらの重要性を再認識させられた気がします。

 2日目は、参加者が主体となり、「地すべり」と「軟弱地盤」のグループに分かれてディスカッションが実施され、闊達な意見交換が行われました。私は「地すべり」のグループに参加しましたが、現場管理やボーリングの掘削方法までに議論が発展したため、議題によっては問題点がやや曖昧になりがちでした。しかし、技術委員や参加者の経験に基づくご意見・留意点を拝聴することができたため、非常に有意義な経験となりました。

 私は地質調査に携わって一年弱になりますが、いわゆる『地質調査における当たり前』に現在も戸惑っています。別な言い方をすれば、暗黙の了解のもとに問題設定やその解決がなされていることが多いように感じます。そのため、問題の本質を捉える事ができませんでした。同時にこのことが発注者と技術者の理解の相違を生んでいる一因ともなっているような気がします。

 本ディスカッションでは、現場管理での失敗談や、『地質調査における当たり前』に対しても真摯な姿勢で回答を頂けました。これにより地質調査の本質が垣間見え、今まで抱えていた疑問点の解決の糸口が得られたように思えます。

 本セミナーに参加し、若手技術者からベテラン技術者まで、広範な分野でご活躍されている方々の地質調査に対する熱意、真摯な姿勢を拝見し、私自身の調査に対する姿勢を改めて見直す機会を頂いたように感じております。

 また、現場の意見は実に新鮮で、かつ興味深いものでした。しかし、このような貴重なご意見もセミナーだけで失われてしまうのは非常に残念でなりません。

 現場を知らない新人技術者や学生、発注者に対してもその重要性とその理由を理解できるよう場(セミナー、発表、書籍など)を設けて頂ければと思います。

 このような原稿を書くのは初めての経験であり、何を書けば良いのか分かりませんでしたが、折角の機会ですので私が感じたところを率直に書かせて頂きました。

 最後に、大変お忙しい中貴重な意見や回答を頂きました東北地質調査業協会の技術委員の皆様に心より感謝申し上げます。
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