64.「平成17年度地質調査技士資格取得実践セミナー」報告

技術委員会 研修部会 部会長  秋山 純一

1.セミナーの趣旨

 当該セミナーは、オペレーターの方々の地質調査技士試験の合格を目的に、平成14年度から開催しました。以来、平成15年度、平成16年度と継続して参り、受講者の合格率は60%強という実績を上げております。これも受講者の努力と会員各社の支援の賜物と感謝しております。

 平成15年度からは、地質調査技士の部門制の導入など、試験制度が変わり、新設された「現場・技術管理部門」および「土壌・地下水汚染部門」においては、午後の部に記述試験が行われるようになりました。これを受けまして、今年度の当該セミナーは、記述式問題の添削指導も含めて行うよう企画し、受講対象者を全部門に拡大して実施しました。


開講挨拶
開講挨拶
演習状況
演習状況


表1 地質調査技士資格取得実践セミナーの日程とカリキュラム


開催日 主な内容 場所
第1回 平成17年5月14日
13:00〜17:00
A 社会一般、建設行政等の知識
B 地質、土木・建築等の知識
C 現場技術の知識
[I]ボーリング技術
[II]サンプリング、原位置試験、孔内検層
(協会)
やまふくビル
第2回 平成17年6月4日
13:00〜17:00
[III]試料の判別分類
D 調査技術の理解度
E 解析手法、設計・施工への適用
F 管理技法
G 入札・契約制度、仕様書等の知識
H 記述式問題
(協会)
やまふくビル
第3回 平成17年7月2日
13:00〜19:00
口頭試験対策(現場調査部門受験者)
記述式問題(午後)の書き方、同添削指導
試験直前補強(弱点問題の補強)
意見交換会(17:00〜19:00)
ハーネル仙台

2.セミナーの内容

 受講者は、現場調査部門(土質コース)4名、同(岩盤コース)1名、現場・技術管理部門12名、土壌・地下水汚染部門1名の合計18名でした。
 セミナーは、受講者を部門別に4〜5名ずつの5班に分け、各班に1名の担当講師を決めて指導するという形態で実施しました。セミナーの日程とカリキュラムは表1のとおりで、問題の演習と解説を中心に実施しました。
 最終日の第3回は、会場を実際の試験地であるハーネル仙台に移し、現場調査部門の受験者については模擬口頭試験、現場・技術管理受験者は記述問題の添削指導を中心に行いました。引き続いて、17:00より、意見交換会を設け、今回のセミナーの感想、受験に向けての各自の取り込み方、普段の調査業務について意見を交換したほか、講師を務めた技術委員からのアドバイスや受験のノウハウなどの話をしていただきました。


3.受講者の感想・意見

 最終日の第3回セミナーの意見交換会の場で、今回の受講者の感想を聞かせて頂きました。要約すると次のとおりです。

【1】 今まで問題を解いて答えを見ても、良く理解できなかったが、今回は問題と解答の解説をしてもらったので、理解できるようになった。
【2】 今回のセミナーで過去出題問題の解説集をいただいたが、この問題の解説集が非常に役にたった。
【3】 問題と解答について、調べても分からなかったことや、今まで教わることができなかったようなことを解説していただき、大変勉強になったし、理解できるようになった。
【4】 記述式問題を甘く見ていたことが分かり、さらに、添削指導してもらったので良かった。
【5】 記述試験問題をどうやって書いたら良いのか分からなかったが、今回のセミナーで書き方が解った。
【6】 口頭試験対策や模擬口頭試験をやってもらったお陰で、今までの答え方が良くなかったことが今回初めて分かった。どのように答えるのが良いのかが分かったのでよかった。
【7】 模擬口頭試験では、他の人の答え方も参考になり大変良かった。
【8】 はじめは、口頭試験でどう答えてよいか分からず緊張したが、1回模擬口頭試験をしたので、落ちついて受験に望めそうだ。
【9】 講師が懇切丁寧に説明してくれたので、良く理解できた。


4.セミナーを終えて

 地質調査事業量の低迷が続く中、こうして熱心に地質調査技士の資格取得に取り組んでいる方々がいることは、誠に頼もしい限りです。反面、私たち地質調査業協会のあり方として、資格は取得しているが実力・知識が伴わないような技術者を出さないようにすることも大切と考えます。この観点から、このようなセミナーを通して地質調査技術について正しい理解と知識・実力を身につけた地質調査技士が誕生していくことを切に願います。
 地質調査技士として十分な力を持ちながら、正しい知識として定着していない人、口頭試験で緊張してうまく答えられなかった人、記述試験の問題の趣旨を良く理解できずにうまく記述できなかった人、汚染物質分析は解っているがボーリング技術が今ひとつという人も少なからずいるように見えます。このような人の資格取得の一助として、当該セミナーが今後も役に立つことができればと思っているところです。
 今回の受講者の合否はこの報告を書いている時点では分かりませんが、みなさんの真剣な取り組みを見ていますと、必ずや合格できるものと信じています。
目次へ戻る