(株)東北地質  石川 澄子
13.女性からのひとこと 仙台前のおいしい魚たち

 明治時代以降、江戸城前の東京湾で捕れた魚をネタにした寿司を「江戸前寿司」と称しているように、仙台城前の仙台湾で捕れた魚を使ってもなぜか「仙台前」や「伊達前」とは言いません。

 しかし、宮城県内河川や沿岸には約257種の魚が生息又は回遊しており、その魚がとてもおいしいのです。

 おいしく種類が多い理由のひとつに、金華山沖で親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかっているというのがあります。

 カツオは、まさに暖流に乗って北上し初鰹として食され、寒流で戻り鰹となります。

 また、北上川・名取川・阿武隈川の流入で形づくられた広大な泥場、岩礁地帯、南に広がる砂場など宮城県は漁場としても好位置にあるといって良いでしょう。

地図

 釣り人にとっても各湾内や宮城県沖の船釣りは変化に富み、一年を通して釣りが楽しめます。特に松島湾内のハゼ釣りや大型魚礁でのカレイ釣りは、初心者や子供でも楽しく釣りができます。地質調査業協会の釣り大会も仙台湾沖の大型魚礁で行われており、毎回建設コンサルタンツ協会の方々と交流を行っております。

 これからの季節、特に本マグロやカジキマグロ、出世魚のワラサ、スズキ等がおいしくなってきます。

  ちょっと変わり種はマンボウです。

  マンボウは非常に大きく成長する魚で、体長3m以上、体重は1tを超えますが、宮城県沖では水温が14〜18度の頃によく出現します。身は白身でおいしく、また卵巣はキャガマといって飲兵衛にはたまらない珍味です。

  県内産のウニも夏が旬で、輸入ものにはない味わいがあります。

  宮城にはご当地の魚介類を代表する「みやぎのさかな10選」というのがあります。

 ちなみに、1.かつお 2..マグロ 3..サンマ 4..カレイ 5..ギンザケ 6..ハゼ 7..アユ 8..カキ 9..ホヤ 10..アワビ 11..海苔 12..ワカメの12種類ですが、その中でもホヤは海のパイナップルと呼ばれ、生産量は全国一で約7割を占めます。珍味中の珍味ですが、栄養学的には色々なミネラルや抗酸化物質が含まれて  おります。蒸して食べるのも良し、酢の物で食べるのもまた良し。海苔と並んで宮城の代表的な海産物であります。



マンボウのキャガマ
 

ホヤの酢の物
ホヤの酢の物
宮城県産ウニのぐんかん
宮城県産ウニのぐんかん


  さて、仙台前の釣りの四季はというと、春のマコガレイ、夏のイカやイナダ、ワラサ、秋のカツオやヒラメ、冬のハゼ、牡蠣、鱈などがありますが、それは鰯やメロウド等の小魚が宮城県沖に回遊して来る時期と重なります。また、良い山地(森林)とも関係してきます。

  陸地の環境も大海原と関係しあうということですね。

  また、釣った魚を生け簀に入れておくと、エビや海苔、小魚などを吐きだしている時があります。魚はおいしさはもとより、現代人に不足しがちなカルシウムやミネラルはもちろん、DHAやEPA、ビタミン等も豊富に含まれております。

  釣った魚を活きのいいうちにさばいて食す。良い漁場のある宮城県に生まれ育ってあーよかった。と思っております。


ホヤの養殖状況
ホヤの養殖状況
ワラサ釣り
ワラサ釣り


比抵抗トモグラフィ測定概念図
〈協力〉弘寿司(太白区越路)

〈参考〉宮城の魚 河北新報社
目次へ戻る