59.協会だより 平成16年度 若手技術者セミナー 報告
東北地質調査業協会 技術委員会 研修部会 |
「この若手技術者セミナーは、地質調査業に携わっている人の率直な意見・要望・疑問点を聞き、話し合う場を持つと共に、協会の活動の参考にすることを目的に、平成2年5月に秋保温泉で第1回を開催して以来、会場を東北管内と仙台市内とを交互に開催してまいりました。 今回の若手技術者セミナーは、27回目で秋田県内の田沢湖町田沢湖水沢温泉での開催となりました。今回は、参加者及び当協会のスタッフ合わせて25名で開催され、近年なかなか実施できなかった念願の現場見学会を実施することができました。前日からの台風で現場見学会が実施できるか危ぶまれましたので、現場見学会が出来ない場合のセミナーも準備して行きましたが、幸い天候に恵まれ、当初の計画通りにセミナーを進めることができました。以下にセミナーの様子を報告致します。 1.若手技術者セミナーの概要
2.森吉山ダム建設現場見学会 森吉山ダム建設現場は、北秋田郡森吉町大字根森田地内にあり、セミナー開催主会場から車で1時間30分の所で、次のような行程で見学しました。 ・13:00〜14:30森吉山ダム建設現場へバスで移動 車中:ダム一般、森吉山ダムについて事前学習 ・14:30〜17:00森吉山ダム建設現場見学 森吉山ダム広報館:森吉山ダム工事 事務所 千葉和民事業対策官からの説明 現場見学:コア敷き部分の見学⇒洪水調節施設の見学⇒原石山の見学森吉山ダムは国土交通省直轄のダムであり、平成14年度に本体着工、平成23年度完成を目指している堤高89.9mの多目的ロックフィルダムです。 見学に先立ち「森吉山ダム広報館」においてスライドを使った森吉山ダム事業概要の説明を受けました。ここで、当ダムは日本初の民間技術を活用したマネジメント技術活用方式を実施しているとの説明があり、発注者と工事請負者との間に立ってマネジメント施行業務実施者が堤体工事と原石山工事の施工調整や材料評価等の技術管理を行い品質の保持やコストの縮減等を期待して工事を進めているとのことでした。 説明を聞いた後、工事現場をマイクロバスで移動しながら見学いたしました。実際に現場に立つことができたのは左岸ダムサイトのコア敷き、フィルター敷き部分です。盛り立ては始まったばかりで、底盤付近の基礎岩盤も見ることができました。あいにく前日の台風の影響で盛り立て作業は見ることはできませんでしたが、盛り立てられた実際のコア材やフィルター材、基礎岩盤を手で触り、感触を確かめることができたのは、めったに無いチャンスでラッキーだったと思います。次に洪水調節施設の現場を見学しました。 最後に原石山を見学に行きました。 原石山は遠望するだけでしたが、職員の方から丁寧な説明を聞くことができました。(本田)
3.意見交換会 有意義な現場見学会を終え、ホテルの温泉で汗と埃を落として温まってから、食事を頂きながらの意見交換会を行いました。この場で、二日目のグループディスカッションの座長となる人をお願いし、座長からどんなテーマを話題にしたいかの希望を発表してもらいました。そして参加者がどのグループに参加するかを決めて頂きました。 明日の準備が出来たところで、再び自由に意見交換をし、日頃の疑問点や普段なかなか聞けないことについて意見交換ができ、また会員同士の懇親も深まったようでした。
4.グループディスカッション(二日目) グループディスカッションは、2班に分かれてそれぞれ前日の意見交換会で決まった座長とそのメンバーで行われました。 (1)第1班 今回、若手セミナーに研修部会委員として参加させていただきました。2日間の研修を通して同じこの業界の若手達と色々な事を話し合い、考えあえたことは自分にとって有意義な時間であったと思います。 討議内容の主なものは、地すべりについて、原位置試験と設計への反映、現場(安全)管理について、地質調査技士を取得するためには、地質調査の面白さとは、などでした。 デスカッションの話題として上がった内容の中で印象深かった話題を1題。「この職業についての楽しさや、やり甲斐について。」 フッと思いました。昔は想定した土質や岩種と異なる調査結果に驚き、悩み、ある意味でわくわくするような興奮を覚えたものですが、最近ではどんな結果に対しても興味を無くしたような気がします。若い時はボーリングで見つかる礫1個にも興味を持ったものですが、歳のせいでしょうか?この職業、地質調査屋は自分が想定したものに対する肯定や否定を行う職業とも言え、例えば断面図1枚を描く楽しさや苦しみが「やり甲斐」とも思いました。この業界に携わる者においては、常に岩石や地質に興味を持つことは重要なことと思います。 このようなグループデスカッションを行い、色々な事を考えましたが一部においては先輩技術者として適切な返答ができなかったように思います。 研修目的のグループ協議においては、日頃疑問に思っている土質調査・試験内容や業務全般について若手同士間で十分なデスカッションが行えたと思います。今回の内容は、セミナーに参加された若手技術者のスキルアップに多少なりとも貢献できたものと考えます。 セミナーの意義を考え、各人が会社に戻ってから技術力向上に前向き取り組んでもらえるものと期待します。(神保) (2)第2斑テーマ:報告書作成実務で若手技術者が抱えている問題を取り上げ、それに対し意見交換並びに対策方法を話し合いました。 討議内容は、技術的なものから会社の実情など多方面に渡ったものとなりました。技術的な内容としては、内業・外業を問わず広い範囲の討議となり、失敗談なども混じりながらの話となりました。主なものとしては、N値の統計的手法、サウンディング、液状化、地すべり踏査、電子納品、計画書等についての話題が上げられました。 会社の実情に関するものとしては、仕事のやりがいから個人の評価のしかたやISOの取り組み、あるいは社有車の取り扱いなど多岐に渡りました。会社の実情などに関する話題は、最近の世相を反映して、業界の今後の展望や面白みに対する討議が印象的でありました。若手技術者は、いろいろな問題と壁に当たっているが、今回のセミナーで何らかの糸口が掴めたのでないかと思います。(佐藤S&H)
5.まとめ 今年の若手セミナーは、例年以上につっこんだテーマで白熱してかつ気軽に討論ができたように思います。参加者個人個人それなりの宝物を見つけていったことと思います。女性技術者という言葉も死語に近い世の中になってきましたが、今回参加してくださった女性技術者も、男女に関係なく、お互いの状況や立場の違い、仕事に対する取り組み姿勢などを学びとっていったようでした。 近年の公共事業量の低下に伴い、私達の地質調査業も低迷を窮めているなか、この若手技術者セミナーの参加者も、一時期40名を超す勢いの時もありましたが、近年は20名を切るようになってきました。地質調査に対する関心とか研究心が薄れてきたのか、単に企業の経費節減なのか、それとも、技術者の技術力が向上し、このようなセミナーは不要になってきたのでしょうか。今回の参加者には、この若手技術者セミナーの今後の存続も含めて、セミナー終了後にアンケートを行いました。アンケート結果は添付のとおりで、全体に有意義であり、今後も継続してほしいと評価してくださっているようです。 今回参加してくださった皆さんには、それぞれ見つけて持ち帰った宝物を、それは宝石で言えば原石のようなものでしょうから、今後の仕事の実践をとおして磨き上げていかれることを期待しております。 (以上、現場見学会及びグループディスカッションを除き 秋山) 平成16年度若手セミナー(アンケート結果) 回答数18
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