東北地質調査業協会 理事長 奥山 紘一01.年頭所感
新年明けましておめでとうございます。皆様にはお健やかに乙酉年の初春をお迎えのこととお慶び申し上げます。あわせて日頃、本協会運営と諸般の事業活動に関してのご理解・ご協力を賜り、心から感謝と御礼を申し上げます。「災」という字で代表された昨年は、全国的に大きな被害が多発した一年でありました。全国各地で頻発した集中豪雨による洪水・地辷り、台風の本土上陸、地震などの自然災害、特に新潟県中越地震はあらためて国土の脆弱性と、災害列島に象徴される自然災害の猛威と震撼を実感させられた一年でありました。 昨年の日本経済は、ようやく永い不況から脱し、緩やかな景気回復の兆しが見え始めた、という見方がありましたが、地方に住む者にとっては、その実感は薄く、依然厳しい状況のまま推移しているのが実情であります。 特に、昨今の建設業界を取り巻く環境は、建設投資額の減少と入札・技術者制度の改変などに伴う競争性・透明性に重点を置き過ぎた結果、受注競争の激化・ダンピング受注や不適格業者の参入などの弊害が生じ、加えて品質・安全管理の不備・不徹底の問題が山積し、業界・企業の疲弊を防ぎ切れない、極めて厳しい状況下にあります。 1992年の84兆円をピークにした建設投資額は、今後50兆円までに減少する見通しで、平成17年度閣議決定予算に至っては、公共事業予算は前年比3%減と予想されております。加えて財政三位一体改革への対応によっては、さらに内容が厳しく変化する可能性があり、まさに未曾有の危機的環境に陥っている、と言っても過言ではありません。内外の困難な課題が山積みしている今、私たちは、美しく豊かな自然と熱い人情の機微に育まれた郷土“みちのく東北”の経済の再生と活性化を図るために、「安全・安心」のための良質で効率的な社会資本整備の必要性を強調し、先人が築きあげてきた業界繁栄の基盤を揺るぎないものにしていくことが、地質調査協会に課せられた役割であります。 当協会では、国交省の「建設関連業展開戦略」と全地連の「地質調査業の21世紀ビジョン」をベースに、地質調査業のさらなる発展と新分野への参入・展開を図ることを目標とした経営改善と技術力の向上に努め、広く顧客からの信頼とニーズに応えられる企業、すなわち「技術と経営に優れた会員企業」を協会活動指針としております。 恒例となりました国土交通省東北整備局との意見交換会が、昨年末に開催されました。ご当局から、広大な国土と豊かな自然環境や歴史・文化を活かした活力あふれる「強く美しい東北」を目指しての社会資本整備を重点的・効果的かつ効率的に推進する、との提案がありました。 又、事業執行にあたっては、建設と維持管理をライフサイクルコストとする「公共事業コスト改造改革プログラム」を積極的に推進し、事業のスピード化と計画・設計から管理までの各段階での最適化を図るための公共事業プロセスを例外なく見直す、と補足されました。 これは地質調査業の役割が、従来の上流部門における地盤情報・サービス提供から、下流部門までのすべてのプロセスに関与するトータルコスト縮減に資するためのメッセージとして示唆されたものであります。 今般、全地連ではコスト構造改革に資する「地質調査を効果的に実施するための10の提案」を発刊いたしました。これまでに発刊された多くの出版物とともに、地質調査業及び会員企業の「ジオ・ドクター」としての評価と、発注者からのご活用の際のインセンティブをいただくための効果を期待しております。私たちは、社会に貢献する地質調査業の果たす役割の重要性を理解していただくために、この提案書を大いに活用し、ご愛用いただいて、今後地質調査業が基幹産業として、環境・防災・保全(維持管理)・リスク及び資産管理などに係わる業務が多様化し、且つ永続的に発展拡大していくことを期待するものであります。 最後に、当協会今期の最大事業であります「技術e- フォーラム・仙台」が、9月8〜9日開催されます。これは技術者の資質向上と相互交流を実現するための、全地連としては最重要プログラムの一つであります。 フォーラム・テーマは、“災害に強い国づくり・・・・・・「防災」”としたいと思います。 「災」の字で代表された昨年、年末のインドネシア・スマトラ島沖の地震と津波の発生は、多くの国々が未曾有の災害に襲われました。被災された人々、そして今なお困難な生活を余儀なくされている多くの人たちに心からのお見舞いの気持ちを寄せながら、東北地質調査業協会会員の心を一つにして、この事業を成功させていただけますようご祈念申し上げ、ご挨拶といたします。 |
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