79.自動落下式打ち込み装置を用いた
サンプリングシステムの開発
東邦地下工機(株) 庄子 征之・松井 伸元・三浦 欣毅・増井 一寿
1.はじめに 近年、土地再開発等に伴い土壌・地下水汚染調査を行う機会が増加している。汚染調査は、一般の地質調査と比較して作業空間や調査期間並びに経済的な制約が多いため、短時間で効率的に調査する必要性から、簡易土壌調査法が採用されることが多い。 簡易土壌調査法は、N値20以下の層で、 深度15m 程度までを対象としている。 簡易土壌調査法のうち、現在広く行われているエンジンや油圧を動力とするハンマーを人力で保持してサンプラーを打ち込む方法は、N 値15 以上の地層に対してサンプラーの貫入および引き抜きに苦労する。 この度、自動落下打ち込み装置を用いてN 値20 程度の締まった砂層に対してサンプリングを実施した事例をここに報告する。 2.装置概要 2−1 自動落下打ち込み装置 自動落下打ち込み装置(ドロップヒッター)は、耐震構造用モーターと電磁クラッチを組み込んだ質量56kg の電動ウインチである。 機械中央に挿入したガイドレールの上端に端を固定したワイヤーをウインチが巻き取ることにより、ガイドレールに沿って機械本体が上昇する。上昇した機械本体は、コントローラの指示により電磁クラッチが作動してノッキングブロックまで落下する。ドロップヒッターは、この一連の運動を繰り返し行うことにより、サンプラーを目的深度まで打ち込むことができる。
機械仕様を表‐1 、ドロップヒッター概要を図‐1 に示す。 次にドロップヒッターの特徴を示す。 ・電動(AC100V)で打撃運動を行うため、作業員はコントローラの操作のみ行う。 ・装置の落下高の調整により、地層に合わせた打撃ができる。 ・打撃力は大きく、硬質層まで試料採取に対応できる構造である。 ・ガイドレールを取り替えることにより、天井の低い屋内でも作業が可能である。 2−2 引き抜き装置 引き抜き装置を写真‐1、機械仕様を表‐2に示す。 引き抜き装置は、2 の油圧ジャッキおよびジャッキを制御する油圧ユニットから構成される。ジャッキ上部にあるチャックピースは、テーパー構造になっていて、ロッドを引き抜く時のみ締め付ける構造となっている。
2−3 サンプラー サンプラーは今回、土壌サンプリング用CG サンプラー(シールコーン付サンプラー)を使用した。 サンプラーはこの他、地下水ピンポイントサンプラー(DW サンプラー)等、各種使用することが出来る。 3.地質性状 今回、サンプリングを実施した場所の柱状図を図‐2に、採取コアを写真‐2に示す。表部より深度5.5m付近まで軟らかい粘性土と緩い砂が堆積しているが、深度5.5m付近よりN値20程度の中位の相対密度を示す砂層となる。 図‐2 柱状図 4.サンプリング手順 1:サンプラー・ロッドを孔口に挿入し、ロッド上部にノッキングヘッドを取り付ける。 2: ドロップヒッター本体をセットし、ガイドレールを本体に挿入する。 3: 本体のワイヤーの端をガイドレール上端に固定し、コントローラにて巻き上げ時間を調整して目的深度まで打ち込みを行う。 4: 本体・ノッキングヘッドを取り外す。 5: 引き抜き装置にて、ロッド・サンプラーの回収を行う。 写真- 2 採取コア 写真- 3 サンプリング状況 5.おわりに ドロップヒッターによるサンプリング ついての諸データを表‐4 に示す。 今回のサンプリングシステムでは、N値1〜2程度の粘性土・砂層からN値20程度の締まった砂層までサンプリングする 事ができた。 今後の課題として、より一層効率的に調査行うため機械本体をセットする際の手順を工夫し、櫓やそれに変わるシステムを開発改良する必要があると考える。 《引用・参考文献》 1 )地盤工学会編:土壌・地下水汚染の調査・予測・対策、pp.46〜50、2002.5 2 )地盤工学会編:地盤調査法、pp.137〜188、1995.9. |
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