道具でわかる 地質調査入門

                  広報委員会    佐藤道子  庄子夕里絵


39. 第1回 モンケンの巻

『はじめに
 皆様こんにちは!私たちは、広報委員の佐藤と庄子です。今回からいろいろな調査道具に実際に触れてみて、地質調査のことを紹介していくことになりました。

 この業界にいながら、現場に出ることもなく調査のことなど件名を耳にするくらいでその他のことは全くといっていいほどわからない私達が、これからの仕事に役立つ知識をたくさん得られるようにいろいろと興味のあるもの・疑問に思っていることをあっちこっち出向いて入門して行こうと思っています。よろしくお願いします。


『さっそく
 今回は、「標準貫入試験て何?」ということで、【(有)ヒライ】の平嶋さんのところで標準貫入試験を実際にやっていただきました。ボーリング機械をセットし、三マタを組立て、63.5kgのモンケ ンをロープでひっぱり上げて、半自動でこれを落っことして、地面の強度を測定します。一定の高さから落っことしてどれくらい地面にささったか、その長さを記録する(N 値)、それが貫入試験というのだそうです。

今回の主役「モンケン」
今回の主役「モンケン」
「MonKey hummer 」がなまったのが由来とか。
左側が半自動、右が標準(トンビ用)。
手前のハンマーと比べてみても、これで63.5kg も
あるとはとても思えません。

『そして
 地面に落っことした先っぽのところ(標準貫入試験用サンプラー)で土を採取して試料ビンにいれる。これが土質標本となるそうです。野帳という手帳のようなもの(または日報)に採取した試料を見ながら土の色・種類、そのときの土の状態を書きとめます。


『結果は
 現場からあがった採取試料・野帳等を基に技術者は、柱状図に整理してどんな地盤なのか判断していくのだそうです。


『さすがプロ

 1回ごとにやぐらに上り安全帯をつけモンケンをセットする、なかなか面倒な(地道な)仕事だと見ていましたが、機長と助手の息がぴったりあい手際よくスムーズでした。

 当日は小雨が降っていましたが、実際の現場は暑い日があったり、寒い日があったり、山の上の現場だったり、水辺の所だったりと土まみれ・泥まみれの作業なのかと思うと改めて大変なんだなぁと思いました。


『おわりに
 はじめてみるボーリング機械・標準貫入試験のための小さい部品の名前、なかなか覚えられなかったのですが、土質柱状図に整理されるまでのいろいろな過程がわかりかなり納得できました。

 今回は、実際の現場ではなく特別にやぐらを組立てて、私達の為に標準貫入試験をやっていただいた平嶋さん、赤間さん、佐藤さん本当にありがとうございました。

 今後も無事故で作業されることを心より祈念しまして地質調査入門・標準貫入試験の巻を終わらせたいと思います。

 標準貫入試験の設計施工への活用については、解説を読んで下さい。ではまた次回まで皆さん、さようなら〜〜〜〜。




標準貫入試験って、どんな試験 (東北地質調査業協会 技術委員会)

 よく知られた地質調査手法の一つに「標準貫入試験」となるものがあります。この試験は日本工業規格JIS A1219:2001 として定められたもので、ボーリングとペアで実施されます。試験では、「N値」と呼ばれる数値と、試験した位置の土質試料(標本)がえられます。この土質や地質を直接目で見て確認できるところがこの試験の素晴しいところです。土質試料を用いてより詳しい分析(土質試験)を行ったりもできます。
 
N値は普通、柱状図の右側に深度グラフとして書いてあります。では、N値はなにに利用されるかと言いますと、地盤の強度(いわゆる粘着力C や内部摩擦角φなど)の推定や支持層の決定、地震時の液状化の判定など多岐にわたってい ます。

下の写真はサンプラーを開いて採取した土質試料の様子を示しています。左側に見える丸いものが「シュー」と呼ばれる土に観入していく先端の部分で、厳密に大きさが決められています。その右側に2 つに割った状態に見えるものが「スプリットバーレル」と呼ばれるもので試料を扱いやすくするために写真のように開くように出来ています。

 一般的に1m 間隔で実施するのが当たり前ですが、これは日本だけのようです。硬い岩盤や玉石を除くあらゆる土質に適用できますが、極めて軟弱な粘性土では正確な硬さの判定はできない場合があります。

標準貫入試験方法の概略図 取れた試料の様子
   
「試験の流れ」

@ボーリング孔を利用して標準貫入試験用サンプラーを試験対象となる地層(孔底)に降ろす。
A質量63.5±0.5kgのドライブハンマー(モンケン)を76±1cmの高さから繰り返し自由落下させる
Bドライブハンマーの打撃は最初の15cmの部分を予備打ちし、その後の30cm 貫入させる打撃回数
 (これがN 値=本打ち)を測定する。
C試験後にサンプラーを引き上げて試料を観察し、試料そのものは大切に保管する。
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