(有)水文環境調査事務所 和田 俊行
20.ウズベキスタン・タシケント市の滞在事情(前編)
1 .ウズベキスタン・タシケント 昨年度、とある機関の調査でウズベキスタンのタシケントに長期滞在していました。海外出張は、多忙な反面、夜に時間がとることができます。そこでウォッカ片手に愛用のパソコンとデジカメで作成したのが“美女図鑑”。土産話にと思い人に見せたのが運の尽き。「それ雑誌に書いて」と頼まれ、軽く返事をしてしまったことに、後悔の念が襲ってくるまで時間はかかりませんでした。 さて、書くかと思い立ちよく考えて見ると「美女」のことばかり書いてもダメだと思い、タシケントの様々な事情についてご紹介することとしました。 ウズベキスタンは、1991 年に旧ソ連邦より独立した国で、中央アジアの国々の中でも最も栄え、首都タシケントは中央アジアの中心都市でもあります。人口約2,470 万人。天然ガス、石油など資源が豊富な国です。 シルクロードの道、オアシスの都市として東西交易が盛んでユーラシア大陸で西洋と東洋の文化交流を支えた地域でもあります。このためか美人が多く(個人的な見解かもしれませんが)、これはと思い立ってつくったのが“美女図鑑”で、雑誌に投稿するキッカケとなりました。さて、タシケントの幾つかの事情をご紹介します。 |
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2.タシケントの乗り物事情 私ごとですが乗り物が大好きで、今でも出張の行き帰りには、電車・汽車にワンカップを持ち込み、車窓を鑑賞するのが浮き世の垢を落とすすべとなっています。そこで、まずは「乗り物事情」から始めたいと思います。 タシケントは中央アジアの中心都市にふさわしく、中央アジアで唯一の地下鉄をはじめ、路面電車、トロリーバス、市バスが縦横に走っていて交通機関は充実しています。すべての乗り物がどこまで乗っても130 スム(約15 円)の均一料金であり、言葉が不自由な外国人にとっては、安くてありがたいものです。 ☆地下鉄☆ 現在3 路線が開業しており、市内の主要な施設に行くのに便利です。旧ソ連時代の名残か軍事施設扱いのようで写真撮影は禁止されております。ホームには常時警察官が見張っていて、ホームも暗く心理的な圧迫感があり、頻繁に職務質問されるようなので外国人にはパスポート(のコピー)が必携となります。 ウズベキスタンは警察国家というのでしょうか?(一説には国の職業の半分は警察官とも言われている?)外で写真を撮っていたりすると、すぐに職務質問をされますので観光の際にはご注意を。 ☆路面電車☆ 鉄路を外れて運行することはないので、タシケントの地理に不案内な外国人には利用しやすいものです。車両は老朽化しており、日本と同様に交通渋滞の元凶として路線廃止が相次いでいます。運転台が前方にしかなく、終点まで行くとループ線を使って方向転換をします。車両費とループ線の建設費を勘案してのことでしょう。 |
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路面電車 | ||
路面電車とトロリーバス | ||
☆トロリーバス☆ 路面電車同様老朽化が進み廃止路線が相次いでいます。交差点などでトロリーがはずれ、立ち往生する姿がしばしば見られ微笑ましいものです。 ☆市内バス☆ 一部旧式のバスも走っていますが、大半はベンツの新車に置き換わっています。おそらく外国からの援助と思いますが、このような眼に見える援助は効果的だと思います。バスを乗りこなすのはなかなか難しく、行き先表示にローマ字表記はなく、路線ごとにつけられた番号だけが頼りとなります。幸い市内交通のルートマップがキオスクで売られており強力な助っ人となります。 市内案内図 |
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☆タクシー☆ タクシーにメーターはなく、そもそも“タクシー”と表示された車もまず見かけません。 では、どうやって利用するのか?一般の乗用車がタクシーに早代わりするのです。おそらくインフレに悩む庶民のささやかなアルバイトなのでしょう。 乗り方は、次のとおりです。 @腕を前方斜め前に出しタクシー利用の意思表示をする。 ↓ A車が止まったら行き先を告げ、行ってくれるかどうかを尋ねる(行き先は地下鉄の最寄り駅を言うと片言でもつうじやすい)。 ↓ B本来は料金の交渉をするが、言葉が通じないのでこれは省略(ぼられることはほとんどないので安心です)。 ↓ C目的地に近づいたら運転手に道順を指示する。英語は全く通じないので“プリャマ(真っ直ぐ)”、“ナプラバ(右)”、“ナレーバ(左)”とロシア語で指示する(私が最初に覚えたロシア語がこれでした)。 ↓ D目的地に到着したら料金を支払う。市内なら100 円程度。少ないと言われることは殆どない。現地の人に聞くと3 割くらい高く払っているのだそうで、こちらがロシア語が出来ないためのペナルティーか。(「地球の歩き方」風になってしまいました) タクシーとして止まってくれる車の大半はロシア製です。韓国(大宇)製の現地生産車が数多く走って行きますが、こちらは殆ど止まってくれません。車の所有者の経済状態を反映しているのかもしれません。 実際の鉄道時刻表 ☆鉄 道☆ モスクワ、カザフスタンからの国際列車が発着するほか、国内の長距離列車や近距離の列車も走っています。しかし、駅に行っても時刻表はすべてロシア語かウズベク語で我々にはさっぱりわかりません。駅には警察官がうようよいて、地下鉄と同様に圧迫感がおそってきます。(旧ソ連以来の伝統か、イスラムテロの影響か、おそらくその両方であろう)。滞在中にシルクロードの名勝ブハラに行こうとしましたが、帰りの切符は向こうでしか買えず不便でした。「すばらしい観光資源を持っているのだからもう少し外国人に分かりやすくすれば、飛躍的に観光客が増えるのに」と心の中で何度も叫びました。 なお、目的地に行くための鉄道に乗ると、旧ソ連時代の鉄道網だったので、一度、隣国へ出て、再び国内に戻るルートになっている路線が結構あり、その都度、パスポートチェックがあったりします。ともあれ鉄道好きの私にとって鉄道が走っている国で鉄道に乗らなかった最初の国となりました。 (つづく) |
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