59.「CALS/EC(電子納品)座談会」報告 情報化委員会

 情報化委員会では会員の皆様の電子納品の現状確認と対応力強化を図るために、平成15年11月21日(金)「いわて共済ビル(岩手県市町村職員共済会館)」(盛岡市)において「CALS/EC(電子納品)座談会」を開催いたしました。この座談会は電子納品の実務を担当している若手技術者に参加していただき、電子納品の現状や問題点、合理的な納品方法などに関する情報交換を行い、電子納品に対する理解を深めることを目的としたものです。

 当日は座談会に先立ち、(社)全国地質調査業協会連合会技術委員会の金澤直人氏を講師とする「CLAS/EC の最新情報に関する講習会」も併せて実施いたしました。

 国土交通省では、今年度に入って電子入札・納品が本格的に実施されております。また、地方自治体でも検討されてきていることもあって、長時間にも拘らず熱心な聴講と討議が行われました。

 参加者は情報委員会のメンバーを含めて29名でした。参加頂きました会員の皆様方のご協力に感謝いたします。

 なお、座談会に先立ちまして実施しました電子納品に関するアンケート結果および座談会での質疑応答内容について次頁に示します。

  情報化委員長:岡田 進
  情報化副委員長:江藤 淳宏
  CLAS/EC 担当委員『司会』:熊谷 周
  CLAS/EC キーマン:岩堀康希




講習会風景


座談会風景

「質疑応答時の主な内容」

質疑 応答
CAD製図基準について
図面サイズはA1を標準とする。そのほかのサイズは発注者との間で協議(打合わせ記録簿作成)。
県レベルでは統一基準はない。
・発注者から貸与される図面のレイヤが不統一
・AutoCADで貸与されたデータがSXF(p21)で記録されていない(線の太さ、色が異なる)
発注者と協議(図面作成業者に修正を依頼)。
OCF協議会「SXF変換を意識したCAD製図」の要領をホームページからダウンロードできる。
国交省のチェックプログラムでCADもチェックしないと、エラーによる手戻りが発生する。
AutoCADファイルで、ペン設定ファイルが添付されていないことが多い。このために幹事会社としてデータをまとめる際に苦労した
上記「SXF変換を意識したCAD製図」の要領に沿った作業を行うこと。
今は過渡期であるので、SXF化が進めばいくらかは改善される。
DWG等からSXFに変換する場合には抜け落ち等が生じる可能性があるため、エラーチェックを忘れずにすること。
使用しているCADソフトの種類
V-nas、BV CAD、Dyna CAD等
秋田県ではDyna CADを標準としているは改善される。
AutoCAD2004はOCF検定に合格していないため、別途SXF変換ソフトが必要※1
JW-CAD+変換ソフト使用。変換ソフトは、p21対応(シェアウェア:1万円程度)。
HO-CAD使用。SXF形式での塗りつぶしもOK。
地質図のCAD化について
次工程の用途に応じてCAD化することが大切(例:ダム調査の場合、地質図変更タイミングの見極めが必要である)。
CADによる着色について
べた塗りは容量が大きくなる。ハッチングの密度を細かくすれば容量は小さく、仕上がりは良好
AutoCADでは、SXFに変換すると表示順序の認識がなくなるので注意。
AutoCADでは出力時に色毎に濃度設定ができるので仕上がりをよくできる。
互換性のあるCAD(DJ2、D-Draw等)は、SXFで着色。DJ2は画像の貼り付けが出来、安価。(これらのCADは、OCF検定を受けていない)
SXFのファイル形式の使い分けについて
発注者によって「国交省:p21」、「東京、山梨:sfc」といった使い分け、選定が必要。
OCF検定に合格したCADをどの段階で使えばよいか
最終成果完成後にOCF検定で合格したものを使って変換を行えばよい(p21:地方整備局など)。
AutoCADで作成し、V-nasで型を整える方法もある(OCF検定に合格している)。
報告書のオリジナルファイルはどこまで出力すればよいか
発注者と協議(ワード、エクセルなど)。※2
画像ファイルをオリジナルとしてPDF化すると後で検索できない。また、ファイル容量も大きくなる。
オリジナルファイルをスキャナーで読んで入力し、ワープロに貼り付けたら、PDF化した時ファイルが大きくなり地質図の等高線が抜け落ちたこともあるので注意が必要。
電子納品支援ソフトについて
電脳ヘルパー、シビルマネージャを利用。
これらソフトは、ユーザー登録をすれば、バグ修正・バージョンアップ等の案内通知がある。
オリジナルファイルをPDF化する際の工夫について
PDF化した時にファイルが大きくなる。そこで分割して、しおりを貼り付ける(分割したPDFファイルのリンクは絶対パスとする)。
98、MeはPDFが大きくなるとシステムが落ちる(2000、XPは落ちない)。
国交省はPDFファイルサイズ5MBを基本としており、協議によって10MBにできる。
農水省ではファイルサイズに関係なくPDFファイルはひとつにする。
エクセルデータをそのまま貼り付けると、元ファイルがそのまま貼り付けられるため、ファイルサイズが大きくなってしまう。メタファイルで貼り付ければほしいところのみが貼り付けられ、ファイルサイズを小さくできる。
DocuworksからPDF化する場合
画像ファイルはかえってファイルサイズが大きくなる。画像からPDF化の方がファイルサイズは小さくなる。
Docuworksをオリジナルファイルにするには、発注者との協議が必要(発注者からOKをもらえば良い)。
※1
SXF Data Translator with AutoCAD2004およびAutoCADLT2004+SXF Converter for DWG2004は2004年1月現在OCF検定の認証を受けている。
※2
全地連で事前協議用チェックリストを作成しており、ホームページからダウンロードできる。
目次へ戻る