22.いまさら人に聞けない、素朴ななんでもQ&A コーナー

Q:

(前回のつづき)
地質調査技士の試験問題に、よく低地の地形分類について出ますが、
地質上のポイントおよび調査に関する留意点などについてお教えください。

U- 2 自然堤防

 自然堤防は、河川の両岸に位置して、砂や細礫地盤からなります。一般には、氾濫原部より数m 比高差で高い位置に分布しています。N 値は10 程度で排水性がよく、軽量土木構造物や建築物の基礎として良好であります。比高があるため洪水に対しても強く、自然堤防地は土地利用が進み、多くの集落が発達しています。この特徴は、自然堤防を抽出する上でのポイントです。
 なお、河川の蛇行で形成されため、時代により場所が移動しています。このため、後背湿地の上に形成されている場合などもあり、深く砂地盤が連続するとは限らないことに注意しておく必要があります。


U- 3 後背湿地
 土質における地質調査で軟弱地盤を形成する地盤です。自然堤防より内陸側に分布して1m 〜2m 程度低い平坦地を形成しています。洪水時に自然堤防を乗り越えた河川水の中に含まれる越流堆積物より形成されたものです。このため、自然堤防部分より粘土質で、砂分が少なくなります。
 低い低地を形成することから、洪水時では排水がされにくく、長期に渡り冠水し、洪水災害が起こりやすい地盤です。また、粘土質より構成されるため、構造物の支持力不足、不同沈下、側方流動が起こりやすくなります。
 なお、後背湿地には、古い河川の流路であった蛇行原跡が見受けられ、この部分では、有機分に富む極軟弱地盤が形成されています。

U- 4 せき止め沼地跡
 せき止め沼地跡は、河川の洪水などの強い流れに左右されず堆積したもので、低流速でゆっくり運ばれるか、泥水の滞留によりもたらされたもので、細粒分の粘土・シルトから構成されています。このため、後背湿地よりさらに軟弱地盤となり、N 値は5 以下
で、有機分に富む場合がおおく見受けられます。

V 三角州部
 三角州部は、平野と海の境界部に形成されるものであり、「V- 1 三角州」「V- 2 潟湖跡地」「V- 3 おぼれ谷埋積地」に分けられます。

V- 1 三角州
三角州は、大・中河川により運搬されてきた土砂が河口から海や湖などの静水域に流れ込むことにより形成された堆積低地(自然の埋立地)です。このため、広域的に砂地盤より構成され、厚さが30m 〜50m にも達します。形成時代が新しいため固結(土の締まり具合)は悪く、N 値も10 以下で支持力不足など土木構造物の基礎として問題があります。
 また、自然災害の起こりやすい場所で、地下水に満たされている砂地盤であるため、地震時には液状化現象が起こりやすいなどの問題もあります。さらに、地下水のくみ上げによる地盤沈下や塩水侵害が起こりやすい場所でもあります。三角州での地質調査を行うにあたっては、以上のことを考慮しておく必要があると思います。

V- 2 潟湖跡地
 海岸線を作る代表的な地形に潟湖跡地があります。潟湖跡地は、海の営力(沿岸流)により形成された砂州や砂丘の背後にできた潟湖(ラグーン)に堆積したもので、厚い粘土層やシルトなどより構成されます。また、潟湖の最終期には有機分に富んだ堆積物より構成され、軟弱地盤を構成します。
 潟湖の規模の大きい場合には、河川の出口部では三角州が形成されますが、中心部は上記の通り軟弱地盤となり、支持力不足・圧密沈下などの問題があります。

図1
図1 沖積平野地下の構造と地層のいろいろ(地盤調査法:地盤工学会より抜粋:再掲)
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