福島県在住の友人に誘われ鉱山跡地のズリ利用調査をした帰りに、西会津に宝探しに行くことになりました。会津坂下IC
で高速道路を降り天野作市氏のガイドブックに従い、30 分程でそれらしい集落に辿り着く事ができた。しかし、なかなか目的の場所が見つからず右往左往すること小1
時間。ようやく鉱山経営者の藤原清鬼氏宅に着いたのです。
お茶をご馳走になり、一仕切りヤマの歴史や稼行話を聞いた後、ご婦人に案内して頂くことになったのです。採掘現場付近は立ち入り禁止となっており勝手に近づく事はできないのである。鉱山専用道路に入ると敷き詰めた砕石の中に原石を割った青白いオパールが点在している。
まもなく鉱山に到着したがそこでは、坑内から掘出した岩塊を小割しオパールの塊を取り出しています。家内工業でズリは砕石として販売しており、勿論99.99
…%がズリであり、文字通りの宝探しである。オパールが鉱業法に該当するかどうかは別として、人は誰でも宝石には興味を引かれ、自分のものにしたいという欲望にかられる。
私は、オパールについて知っている事と言えば、不透明遊色の珪酸鉱物で水分を含み「石のゼリー」と呼ばれているという位の知識しか持ち合わせていなかったのである。
見学者も入山料を払えば採取できる仕組みになっており、水戸からやってきた40 代の男性A 氏が鏨とハンマーでカンカンやっているのに出会いました。
母岩は、暗緑色の新鮮なライオライトでその隙間でオパールの球顆が成長を続けているのです。イモ虫ゴロゴロのような球顆を割るとその中はオパールですが貴蛋白石といわれる価値あるものは少ないのである。
坑道掘削しバックホーで岩塊を明かりに搬出し、そこで小割りをしているのです。割られた球顆がそちこちに白い肌を見せており青みを帯びてきれいなものがあるが、その程度では商品化できないという事である。
経営者は、割らなくても外観で判断できると言いますが素人ではとても無理である。時間の都合で入山料を払っていないため割る権利はなく、捨てられたものを数個拾って帰途に着きましたが、それでも十分宝物です。
芋のような形をし表面には瘤のような疣があり奇妙な形である。A 氏は、盛んに大きな岩塊に挑戦しておりその成果を
見せてもらうことにした。2 個採取したという事である。
それは、青みを帯びた遊色で、揺ら揺らと輝き、見る角度によって色が変化し、まるで虹を見ているようである。一瞬息づいているような錯覚にされる。
この種のものは、貴蛋白石と呼ばれており、例えようもない妖艶な姿態でしばし見とれる。帰りに再び藤原氏宅に立ち寄りましたが、何とそこには水を張った大きなビンの中に10
数個のオパールが艶やかな彩りをしてあたかも生きているような光彩を放っているのである。
オパールは、結晶形を持たず無定形で約10 %の水を含んでいるため、乾いた所では水を失いゼリーは縮み割れるのである。このため水漬けにしているのである。日本で唯一の宝の山である西会津の宝坂に行き、デパートと違う生のノーブルオパールに面会することをお勧めしたい。
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