33.日本応用地質学会東北支部総会特別講演・第10 回研究発表会

日本応用地質学会東北支部総会 特別講演・第11 回研究発表会

 同学会の平成15 年度総会・特別講演・研究発表会が、東北地質調査業協会の協賛を得て、平成15 年5 月23 日(金)、仙台市青年文化センターエッグホールにて開催された。総会は午前10 時より、支部規定に則り定足数を満たしていることを確認の後、田野支部長が議長を務めて議事が進められ、14 年度の活動報告、会計報告、15 年度の活動計画、会計予算が審議の後、それぞれ案の通り承認された。また、本年度は役員改選の年に当たっており、幹事の一部が改選されたほか、新たに企画委員(岡崎委員長)7 名が選出された。これは、支部活動の企画を若手会員が担うことにより、より活性化した支部活動を行なおうというねらいがある。特別講演は10:30 より、財団法人電力中央研究所我孫子研究所の井上大榮研究参事により「活断層研究の現状と展望」と題して行なわれ、69 名が聴講した。活断層の認定に疑問を投げかけた鳥取県西部地震震源域の評価は?、長大な活断層系のセグメンテーションはどのようにして可能か?、ダムを破壊した921 集集地震は予測しえたか?など、研究の最前線における問題認識について解説された。また、今後、応用地質学をコアにして研究、業務にかかわるには、高精度のリニアメント抽出と、物理探査を含めた調査・評価手順を踏んだ地道な調査によって、更に進んだ活断層評価が可能であることを強調された。


総会における田野支部長挨拶

 第11 回研究発表会は12:30 より、84 名の参加をえて、下記の8 件の発表がなされた。

1: 地質の事前予測による安全で効率的なトンネル施工について(国交省東北地方整備局・羽立隆幸、矢崎剛吉、阿部要)
2: 変状トンネルの調査・診断事例(日本工営・畚野匡、生形嘉良、鈴木正樹)
3: 重金属を含有する建設発生土に係る調査・対策の考え方(応用地質・門間聖子)
4: 3,300 年前の地下岩盤構造物の安定性に関する調査結果概要(日大・田野久貴、東海大オメール・アイダン、早稲田大・濱田政則、吉村作治)
5: 熱赤外線カメラによる地上リモートセンシングの2 、3 の課題(復建技術コンサル・渡辺敬三、山下智士、村田暁永)
6: 融雪期における地すべり地の地下水変動と動態観測例(東開基礎コンサル・後村和貴、ジオプラン・今野隆彦)
7: 風化花崗岩における地下水開発について(千厩地域)(テクノ長谷・荒川雅樹、加藤彰、東北農政局・椎名義徳、森一司)
8: 鬼首カルデラ内陥没事故の成因に迫る(大和地質研・大村一夫、東北大・清野茂)

15 年度より、研究発表会は総会時に合わせて行なうこととした。また、これからの行事予定は以下のとおりである。
○支部見学会 9 月19 日(金)〜20 日(土)
5 ・26 三陸南地震に関連した地質巡検築館の斜面崩壊現場、及び同現象解明の鍵となる鳴子、鬼首起源の堆積物露頭他を予定。
○シンポジウム 11 月14 日(金)
「想定宮城県沖地震」の減災に応用地質学はどう貢献するか。阪神淡路大震災での応用地質関係者からの話題提供。地質情報も入れた
防災地図の試作版も公開予定。
詳細は決定次第、当学会東北支部HP に掲載。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jseg/tohoku/


特別講演の会場風景
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