協会誌「大地」No45

東北地質調査業協会 理事長 早坂 功

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年頭のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。会員の皆様におかれましては、平成20年の新春をお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。あわせて、いつも協会活動および運営に格別のご理解とご協力を賜り、感謝するとともに厚く御礼申し上げます。

今年の干支は戊子(つちのえね)になりますが、「戊」の字は「茂」に通じ、植物の成長が絶頂期にあるという意味で、「子」は「孳(し:ふえるの意味)のことであり、新しい生命が種子の中に萌している状態を表したものだと言われております。この「戊」と「子」が合わさった平成20年を、私なりの解釈をすれば、「未来の繁栄にむけての子種を宿す年」と言うことになります。平成になって20年目という節目の年でもあり、平成としての大人になった第一歩の年ということもできます。また、21世紀は環境の世紀であるとも言われており、今年の洞爺湖でのサミットでは地球温暖化に向けての新たな提案を日本から発信することにもなっております。いずれにしましても、今年は当協会だけでなく業界全体の再出発点になる年のような気がいたします。

さて、最近の日本経済は民間需要に支えられた着実な景気回復基調にあるといわれておりますが、東北経済は、「持ち直しの動きがさらに穏やかになっている」と判断されており(東北財務局)、やはり東京を中心とした大都会や大企業に好景気感があるだけで、東北のような地方の中小企業にとっては未だ冷え切った経済状況が続いているといえるでしょう。また、政府をはじめとする公共の建設投資も依然として低下傾向を継続しており、公共事業を中心としている私達地質調査業も低迷しているという状況が続いております。

このように大変厳しい状況にあって、私達地質調査業を営む企業、さらには、その集まりである東北地質調査業協会が現在取り組まなければならない課題は、まさに「不況対策」そのものと思われます。近年、入札制度が刻々変化し、従来の指名競争だけでなく、プロポーザル方式、総合評価方式、場合によっては一般入札などの方式が検討されている一方で、低価格落札の傾向も続いており、その中で、品確法で示される高品質も求められております。業界へ押し寄せているこれらの大きな波は、小船のような中小企業を飲み込んでしまいかねません。この不況と構造的変化に耐えられる力を持った企業しか生き残れない時代の感がいたします。

当協会では、この不況を反映するように、会員数がピーク時の104社から62社にまで激減し、運営を厳しくしましたが、昨年は、事務局の再編(他協会との統合)、理事定数の削減、及び臨時総会の中止を実行し、何とか運営を続け、目的である「会員の技術の向上」、「会員の経営基盤確立」そして「会員の福祉・親睦」に努力してまいりました。しかし、「地質調査業の事業量の減少」を食い止めない限り、協会はもとより、業界全体が成り立っていかなくなってしまう恐れが続いております。

全地連では、従来のインフラ建設や防災などの地質調査に加えて、地質調査業の新分野への展開を図るための検討がなされており、「地質情報化」、「メインテナンス」、「環境領域」等への市場参加の方策について重点的な取り組みがなされております。また、公共構造物建設のコスト縮減のためには地質調査が如何に大事であるかを、「地質リスク」という観点で取り上げる一方で、昨年は観光資源としての有用性を裏づける「日本の地質百選」を刊行し、今年から日本の「ジオパーク」構想の実現化に向けての第一歩を踏み出そうとしております。

東北では、「環境領域」など新分野への取り組みが僅かになされておりますが、未だそれ程進んではおりません。全地連と一緒になって様々な事業展開を図るとともに、東北独自、東北発の新分野・新事業を起こすための前向きな姿勢が今こそ必要かと思われます。

「安全・安心で美しい東北」のために、地質調査業が如何に大切であるかを、多くの人に理解をして頂き、「若い人」が喜んで参加できる業界を目指して、この戊子年を『明るく活力のある元気な協会・会員』のスタートの年にしたいと願っております。

会員皆様のご多幸を祈念して、簡単ですが、新年のご挨拶といたします。

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