協会誌「大地」No47

(株)復建技術コンサルタント 山形支店 佐藤 喜一郎

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33.山形ラーメン紀行

あなたは「山形」と言われて、何を一番に想像しますか?山形で誇れるもの、これがまたたくさんありまして、米・酒・蕎麦・果物等、おいしいものを挙げればきりがありません。意外なところでは「山形のラーメンはうまい!」との評判があります。決して私だけが言っている不確かな話ではありません。

山形県の場合、県でひとくくりにはしがたく、大別して「村山」「置賜」「最上」「庄内」の4地域に分けられます。それぞれが独自の食文化のもとに地域の味があり、どの味をもって「山形ラーメン」とは限定しがたいほど、個性と主張にあふれています。それでは、各地域の特長を簡単にご紹介します。

まずは、県都山形市を中心とする「村山」地方です。ここは、全国でも有数の蕎麦処でもありますが、ラーメンを出す蕎麦屋さんが実に多く、注文の8割がラーメンという店もある程です。皆さん不思議に思われるかもしれませんが、「蕎麦屋でラーメン」これこそが村山地方における山形ラーメンの特長といえましょう。また、最近では夏の定番になってきた冷やし中華と冷やしラーメン。冷やし中華の発祥の地が仙台なら、冷やしラーメン発祥の地が山形(栄屋本店)というのも、ラーメン好きの県民性を表しているものといえます。

次に米沢市を中心とする「置賜」地方。ここも米沢牛と並んで有名なのが米沢ラーメン。米沢ラーメンの特長は、まずは手もみ製法による縮れ麺。そしてスープは、鶏ガラ・豚骨・煮干などを使い、あっさりした醤油味。さらに水分をたっぷり含んだ中細麺(専門用語で「多加水」という方法で、小麦粉をこねて打つときに通常よりも多くの水を加えます。)にあります。この特長がうまくミックスして独特の風味を醸し出しており、毎日食べても飽きのこないラーメンと言えましょう。あえて言えば、喜多方ラーメンに近い味かな?とも思います。

三つ目の「最上」地方に代表されるのは新庄市。ここの「とりもつ」ラーメンは、新庄ラーメンの代名詞になっている程で、この地域の標準的なラーメンです。トリモツ煮とラーメンという意外な組み合わせに驚かれるかもしれませんが、もともと養鶏が盛んだった最上(新庄)地方においては、トリモツ煮も欠かせない一品で、独特の食文化から生まれた一品と言えるのではないでしょうか。あっさりとした醤油味にトリモツ煮のまったり感がコクとなって絶妙な味わいとなっており、最上地方に来訪の際は、是非一回味わって欲しいものです。

最後に紹介するのが「庄内」地方。なかでも酒田ラーメンがその代表格と言えましょう。海に面した港町らしく、トビウオや鰹節、サバブシ、煮干し、昆布等、豊富な海鮮だしを上手に使い、スープは魚介系のすっきり醤油味。麺はストレート系の自家製麺(中細麺)で、自家製麺の比率が全国平均で2割程度という中、8割以上の比率を有しています。麺の量もボリュームがあり、通常100〜160gが一般的な量の目安となっている中で、200〜220gが主流で、食べ応えも格別と言えます。

ここまで、地域別の特長をそれぞれご紹介してきましたが、どちらかというと村山地方が若干濃い醤油味に対し、置賜・最上・庄内地方はあっさり薄めの醤油味ということができます。

次に、私の独断ではありますが、これはという店を紹介します。もし山形に来県の機会がありましたら、参考資料の一つにして頂き、“山形のラーメンは旨い!”という定評を実際に食して体験してみてはいかがでしょうか。

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