協会誌「大地」No46

全地連「技術e-フォーラム2006」名古屋大会報告 総務委員会

平成18年9月21日(木)〜22日(金)の二日間、全地連主催の「技術e-フォーラム2006」が名古屋で開催された。

会場は市内の「メルパルクNAGOYA」に設定され、全地連森会長の開会挨拶・来賓として国土交通省中部地方整備局長の挨拶後、特別講演会によりはじまった。

その後「シンポジウム」「フォーラムシアター」「技術発表会」が各会場に分かれ活発に行われた。

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会場の「メルパルクNAGOYA」

●特別講演会
「再び防災水準を考える」(名古屋大学前総長)松尾 稔氏

災害を主要テーマに、近年で発生した災害の特徴や、これからの防災の考え方などについての講演内容で、たいへん興味深かった。

大きな災害発生時の社会的合意形成に向けて「情報提供の重要性/提供すべき情報の質/積極的な市民参加」の必要性・重要性を主張されていた。

●シンポジウム

中部地質調査業協会企画として「減災害への取り組み」と題され、各大学の教授や国土交通省の4氏から基調講演を戴いたのち、パネルディスカッション形式で会は進められた。

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特別講演会風景

パネラーの4氏は「土木系/建築系/国/住民」の防災に関する専門であり、各関係の災害への取り組み方の紹介や将来像について熱心な討論が繰り広げられた。

その中で「防災技術者が災害を防いでいることが、いかに高い経済効果を生み出しているかを広く世間に認知させる必要がある。」との発言に胸が熱くなった。

●フォーラムシアター

全地連の活動として「防災・維持管理分野における物理探査の適用WG活動報告」「地質事象百選の選考状況について」「地質リスクに関するWG活動報告」「WEB-GISの普及活動報告」「土木地質図のJIS化、地質情報管理 士資格について」
以上5件のワーキンググループの概要報告があったのち、特別企画として
「公共工事品質確保法」「司法制度改革、裁判員制度について」のやや分野が異なる講演がなされた。

フォーラムシアターを通して、この業界の将来像やあるべき姿が垣間見えた様に思える。

●技術発表会

発表数は116編と昨年に比べてやや数は減ったものの、3会場に分かれて熱心な発表が行われた。

発表内容は「防災、情報化、物理探査、メンテナンス、ケーススタデイ、地下水、環境、地すべり、斜面、室内試験、海岸河川、サンプリング・サウンディング、トンネル、ボーリング、現位置試験」の15セクションに区分され、これらは5つの会場に分けられて進められた。聴講者は若干出入りがあったものの各々60〜90名であった。発表内容は現場即応的なもの、学究的なもの、将来性豊かなものなど多様であり、質疑応答では白熱した場面もみられた。私は年々、発表の数は少ないものの内容の質や着目点のレベルが高くなりつつある印象をもった。

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技術発表会

●技術者交流懇親会

懇親会は1日目の夕方6時から約2時間にわたり行われた。まず最初に、中部調査業協会理事長や全地連会長より「今回のフォーラムは、この業界における次世代へ向けた重要なステップとなることを祈念したい」という主旨の主催者から挨拶があった。引き続き国土交通省中部地方整備局、愛知県土木部などの来賓から御言葉を頂戴した。その内容はいずれも厳しい経済情勢を憂慮するとともに、建設業の重要性を訴えるものであった。

その後歓談に移り、あちこちで交流の輪が形成された。会場には各種の出店が開設され、地元自慢の海の幸・山の幸が並べられた。また、中央ステージでは郷土色豊かな演し物が盛大に行われた。特に味噌カツやきしめんは美味しく、地元銘酒との相性も良かった。

最後は次回開催される札幌市での再会を誓い、散会となった。

●展示会

展示会は会場の一角に専用のコーナーが設けられ、2日にわたって公開された。出展者は中部地質調査業協会をはじめとして、調査・探査機器・試錐機関係が11社、ソフト関係が3社、また招待コーナーとして日本情報地質学会・(独)産業技術総合研究所をはじめとした4団体の出展であった。各ブースの内容は実用的なもの、創意工夫の利いたものなど多様であり、いずれも各社の技術の粋を集めたものが並べられていた。

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展示会コーナー(写真:渡辺平太郎 文:神保光昭)

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