応用地質(株)山形支店  四戸 恒一
51.第7回おらほの会社 応用地質(株)東北支社の巻

1.会社概要

 当社は、1957年に株式会社応用地質調査事務所として設立されました。地質工学の創造を企業理念とし、理学の地質学と工学である土木との境界領域に着目した地盤に関する総合コンサルタント会社です。東北地方では、1968年(昭和43年)に仙台事務所が開設され、1976年(昭和52年)に現在の地(仙台市宮城野区萩野町3-21-2)に事務所ビルを建設しております。1985年に社名を応用地質株式会社に改めるとともに、仙台事務所も東北支社として東北各県の支店を統合する部署となりました。

東北支社
東北支社


2.現在の取組

 当社は、地盤にかかわるさまざまな問題に対して「総合コンサルタント」として社会に貢献することが使命であると考えています。さらに「地球のドクター」としていっそうの技術研鑽に努め、みなさまから専門化集団として信頼されること、他方で高度な技術サービスを安価で提供することの実現に全社員が努めていまた、「地元化と国際化」は、当社のキャッチフレ−ズになっています。全国の支社・支店・営業所を通して地域に密着した技術サービスを提供するとともに、国内外のグループ会社の総力を挙げて、国際的な総合科学サービス企業に発展することをめざして努力しています。
 次に東北支社の近況を紹介します。


3.東北支社の近況

(1)環境事業
 当社では、生態学と土木工学の融合による自然共生の技術開発も行っております。1999年に東北支社管内にある福島県三春町のさくら湖周辺地域を研究フィールドとする「応用生態工学研究所」を設置し、人間が自然と共生していくための新たな工学分野を開発することに取り組み、ダム建設前後の周辺の環境変化を「生態」「地象」「水象」「気象」とともに科学的にかつ長期的にモニタリングしています。
 応用生態工学研究所の研究成果は、広く公表するとともに、全国的に技術提案を行い、事業に役立ててもらっています。
 また、「さくら湖自然教室」や「さくら湖自然環境フォーラム」等地域に開かれた研究所として地元の方々との交流も積極的に進めています。

さくら湖
さくら湖
応用生態工学研究所
応用生態工学研究所


(2)防災事業
 当社では、地震、崩壊・地すべり、火山噴火、洪水など、地盤にかかわる多くの防災事業に取組んでいます。
 地震防災事業では、1964年に発生した新潟地震を皮切りに、地震被害の現地調査を国内外で実施しており、その結果を地震地盤災害図や報告書にまとめ、地震被害対策に役立ててもらっております。
 東北地方でも1978年の宮城県沖地震、1985年の日本海中部地震でも地盤被害状況をいち早く調査し、その結果を公表しております。
 そして東北支社では昨年、河北新報出版センターより「宮城県沖地震の再来に備えよ」を出版しました。これは1978年に発生した宮城県沖地震について、発生直後の詳細な被災状況と地震時の職員とその家族の生々しい体験を分かり易く整理し、広く一般の方々にもご理解いただけるようまとめた図書です。向こう30年間の地震発生確率が99%という非常に切迫した状況に一般の方々の関心も高く、図書出版の反響は職員の当初予想を大きく上回るものでした。




(3)社会貢献活動
 最近の環境保全活動は、前述した三春町と応用生態工学研究所の関係に代表されるように、地域住民との連携が非常に重要になってきています。当社では、地域環境整備に対し、地域住民の方々が積極的に参画できるようサポートしています。さらに、義務教育における総合学習などの場を活用し、環境教育を積極的に支援しています。  一例として、山形県内の小学校では長期間にわたる総合学習支援を行っています。「森の達人」「植物の達人」などと呼ばれる専門知識をもつ方々とともに、当社も「土の達人」として参加し、子供たちと一緒になって自然の不思議を学んでいます。

総合学習の様子
総合学習の様子


4.最後に

 当社は、全国に9支社を持ち、地域に密着した技術サービスを展開していますが、常に全社での知識経験の共有を心がけ、全国的視野からの技術サービスを展開しています。
 東北支社でも、今回紹介した活動に代表されるような〈地域社会や一般の方々と密接に関わる業務〉が増えてきました。
 今後とも「総合コンサルタント」として、「安全と安心」を地域社会にお届けしたいと思っています。


 次は、山形県の「新和設計(株)」さんを紹介いたします。
目次へ戻る